第21話 長期化する大規模戦闘という災厄
7日で借金が1割増える。それは、思っていたよりも焦る事だったけど。流石ダンジョンの深い場所というか、何と言うか。敵が強くて厄介な分だけ手に入る魔石の質が良いのは確かだから、それでもどうにか、借金は減らしていく方が早かった。
どうやらモンスターハウスは、私が見逃していただけだったみたいで。次に移動した先では、ダンジョン全体として見たら、結構近い位置に3つもモンスターハウスがあって、どれからどう攻略しようか、結構困ったんだけど。それでも、リーダー的なモンスターは普通に混ざってたから、どうにか順番に全滅させることが出来た。
流石にハウスミミック程の大物はいなかったけど、それでも、地面を走るタイプのドラゴンである、アースドラゴン。立派な全身鎧にしっかりした武器を持った、トロルキング。これは、かなり強い相手だった。
「……気が付いたら、部屋にみっちりスライムが詰まってた、グラトニースライムよりマシだったけど」
これはちょっと失敗したかな、と思った。グラトニースライム、っていうモンスターは、珍しく、他のモンスターを食べる。そして強くなるし、大きくなるし、倒さなきゃいけない回数……急所である核の数が増える。一番、放っておいたらダメなモンスターだ。
それが、モンスターハウスに詰まっていたモンスターを全部食べて……なんなら、近くを通りがかったモンスターも食べていたんだから、本当に困った。というか、流石にどうにもできなくて、魔法のカードを使った。いくら強くても、すごく強い攻撃で、問答無用で全部の核を撃破しちゃえば意味ないし。
ただ、これは加減をしたらダメだなって思って、雷で痺れさせながら焦げさせる、っていう魔法のカードを、10枚使う事になったけど。
「まぁ、ドロップ品が魔石まで含めてかなり良かったから、よし」
グラトニースライムからは、ハイスライムゼリー、っていう、ちょっと水分が飛んだ寒天の塊みたいなものが。トロルキングからは、その手に持ってたでっかい剣が。アースドラゴンからは、なんと、爪の付いた片前足と、牙と、角と、鱗の山と、太い骨と、そして尻尾が落ちた。
まぁ片前足と尻尾以外は、素材詰め合わせ箱みたいなものに入ってたんだけど。片前足と尻尾は、戦ってる途中で斬り飛ばしたら部屋の外に出ちゃって、回収する暇もなく戦い続けて、倒し終わってから他のモンスターにかじられてるところを慌てて回収した。
……戦闘中に切り離した一部でも、本体を倒すと消える筈なんだけど。他のモンスターにかじられていたら、残るようになるのかな? それとも、ドラゴンが特別なだけ? 分からない。でも一応、帰ったら支部長に伝えておこう。
「……再現性が必要、とか言われて、他のドラゴンと戦わされそう……」
やっぱり伝えるの止めようかなぁ。
まぁでも、素材がそれだけ手に入ってるって事は、魔石も結構稼げてるって事。ミミックは混ざってたけど、そっちは全部魔石だったから、借金の返済は順調だ。具体的には、3つ目のモンスターハウス、に、みっちりつまってたグラトニースライムを倒してその魔石を回収した所で、半分を切った。
3つのモンスターハウスを、休む時間も含めて、大体1日半ぐらいで攻略したから、丁度安全地帯を移るタイミングでもある。……ここまで戦ったら、まぁ当然、モンスターの気配がすっかりなくなるから、移動は必須だ。安全度は高いけど、借金が返せなくなるから。
「それでも、まぁ、あと、半分だし……」
モンスターハウス1つで、大体1千万Eぐらいは稼げてる。だからそのまま考えたら、あと5回モンスターハウスを全滅させたら、借金は全部返せる筈。もちろん、あと2日したら1割の利息がついて借金が増えるけど、それでもそこまで大きくは変わらない。と、思う。
正直、モンスターハウス3つはしんどかった。いやまぁ、最後の1つは魔法のカードを10枚まとめて投げつけただけだったけど。あとの2つは、モンスターを引きずりまわして、罠にかけて、最後に残ったリーダー的なモンスターとは直接戦闘したし。
……太陽を、あんまり長い間みないでいると、疲れてくる。そんな話を聞いた事がある。だから、余計に疲れてるって言うのも、たぶんあると思う。だってダンジョンには天井があって、ダンジョンっていうのは、基本的に部屋と通路で出来た、迷路だから。
「……がんばろ」
そろそろ、安全地帯1つ分ぐらいは、しっかり休みたい。それぐらいには疲れてる。でも、それは出来ない。そんな事をしたら、ものすごい勢いで増える利息のせいで、あっという間に借金が元通りになるか、それを越えて更に増えていくから。
だから休めるようになるのは、借金を全部返した、その後。そこまでは、モンスターを倒すのを、魔石を稼ぐのを、借金を返すのを、止める訳には、いかない。
……やっぱり、魔石をいくつかウェストポーチに入れておいた方がいいかな。流石に素材がいっぱいになってきたけど、借金が無くなったとたんに、外に放り出される、っていうのも、有り得るんだし……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます