第20話 無法な借金の増え方という災厄

 モンスターハウスと、そこにいたリーダー的なハウスミミックを倒して、ダンジョンの中を移動して、気が付いたら7日が経っていた。このダンジョンに、訳の分からない借金を背負わされて放り込まれてから、15日目に突入したことになる。

 あれからそこそこの距離を移動して、結構な範囲を探索して、出会うモンスターは全部倒したけど、モンスターハウスも、ボス部屋も、一度も見かけてない。そんなことある? って、首を傾げたくなるぐらいに。うん。ちょっと見かけなさすぎだと思うんだ?

 ダンジョンって、もうちょっとモンスターハウスも、トラップハウスも、ボス部屋もあるものだ。特に、こんな深い場所ならなおさら。……まぁ、その方が安全なのは確かなんだけど。今だけは、稼ぐペースが落ちると、そのまま帰るのに時間がかかるって事になるから……。


「……。たぶん、こういう事?」


 ところで。

 15日目に突入した、ってところで、実はまた、借金の残りがごそっと増えてたんだよね。ペースが落ちた、といっても、5百万Eの台まで下がってたのが、6百万Eに戻ってたから、絶対におかしいのは間違いない。

 そして、1日1回の借金残高の確認は続けてた。だから、昨日確認した分と、絶対に増えた分の比較はすぐに出来た。もちろん、安全地帯に居るから、1分に1Eずつ、借金は増えていくんだけど……。


「トイチ、じゃなくて、ナナイチ、って事?」


 その数字のずれを、ごまかす感じで気にしないことにすると、増えた借金は、その時点での借金の、大体10%ぐらいだった。

 借金が10%増える、って事で思い出したのは、トイチ、っていう借金の方法。あれは、10日で1割の利息が付く、だった筈。絶対にやっちゃダメな借金方法、として聞いた気がするから、あっという間に、返済なんて絶対無理、って金額になる、って事だと思う。

 ただ、この借金は、たぶん7日に10%増えてる。10%は1割だから、うん。ナナイチだ。語呂は悪いけど。たぶんそういう事。


「…………本当に、この借金、なんなの?」


 ……絶対にやっちゃダメな借金方法、を、更に悪くした利息が付く借金。これ、私がここまで借金を返せてるのって、かなり頑張ってるんじゃないかな……?

 というか、これは、絶対、おかしい。きっとあれだ、訴えたら勝てるってやつ。まぁ、元々全然これっぽっちも心当たりのない借金なんだけど。そもそもというか最初から、これなぁに? だったんだけど。

 何と言うかここまでくると、私をこのダンジョンに閉じ込める為の借金だった? なんて思ったりもする。それをして、一体どこの誰が、どんな風に嬉しいのかは、これも全然分からないから、適当な思い付きでしかないんだけど。私は、少なくとも毎日通ってた支部では、まぁまぁ役に立ってたはずだし。


「分かんないなぁ……」


 まぁ、それこそ借金を背負わせてきた誰かに聞かない限り、分からない事だ。つまり、考えるだけ時間と頭の無駄って事になる。ダンジョンの中でまだまだ過ごす事はほとんど決まってるんだから、その辺、ちゃんと休む為には、考えないのが一番だ。

 それに、どれだけ利息がついていようと、借金の返済自体は進んでる。ようやく見えた半分が大分遠ざかったけど、モンスターハウスとハウスミミックの魔石が大きかったとはいえ、半月で半分が見えたのは間違いない。つまり、1ヶ月じゃ間に合わないかも知れないけど、2ヶ月はかからないって事だ。

 帰還のオーブもあるから、借金を返してしまえば、脱出はいつでもできる。もし貯金が全部無くなっていたとしても、借金が無くなれば腕輪の制限もなくなるだろうし、そこから、帰り道としばらくの生活費を稼いでから、脱出すればいい。


「強制的に追い出されたとしても、その時は、支部長に連絡して迎えに来て貰おう。その時には、腕輪が使える筈だし」


 一応、支部では役に立つ判定されてたから。弁護士さんの紹介とかも含めて迎えに来て貰うぐらいは、して貰える筈だし。

 だって私、まだ思いっきり未成年だから。攻略者として働くには、親のように面倒を見てくれる人が必要で。私の場合は、それが支部長だから。実質親が、実質子供を迎えに来る、と考えれば、何もおかしい事はないよね。

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