もう一度　～2007年の冬～

　またね、大好き――

いつもの別れは

いつもの別れじゃなかった

あの日あなたは突然いなくなってしまった

また会えるなんて

当然のように感じていた

冷たい肌に触れると

雪のように溶けてゆく

あなたとの奇跡が

こんなにも

脆くて儚いものだなんて

知らなかった

知りたくなかった

私の記憶の中には

あなたの笑顔だけが輝いている

もう届かない笑顔だけが――

　帰って来てよ

私は叶わない願いだけ抱いて

この歳になっても

心は少女のまま

きっとそれは

あなたに会いたいから

願っても　願っても――

　神様って意地悪だよね

涙を落としながら

ただただ

この世界を恨んだ

あなた以外の

男の人に

たくさん出会った

けれど

あなたじゃなきゃ

私は――

　〝大人になったら結婚しよう〟

　〝美結が大好きだ〟

　〝だから〟

　〝な？〟

初めから私の答えを

分かったような

あなたの言葉だけど

私は「はい」と頷いた

どうすればいいの？

私はどうすればいいのよ

過去を引きずって

でも

その愛しい時間は消せなくて

ケータイのメモリーには

まだ

あなたのメールログ

待受画面は

あなたと私の写真

すべて全て

あなた中心の世界

華やかで

暖かい

陽だまりの中に

あなたの幻影

さよなら？

いや、違うよ

　ありがとう　またね、大好き――

――次に会えた時は

　　結婚、しようね

何十億分の一の可能性から

あなたに逢いにゆく