State Cows  2010年作

 このアルバムを一聴するとヴォーカルが印象に残った。ペイジズだと思ったり、ビル・チャンプリンだっりする。サビのコーラスは大体ペイジズだが。

 そして、大体の曲にはもろAORしているホーンセッションが入っている。そこへギターソロが入って文句の付けようがない。2曲目のNew York Town では Jay Graydon のソロが入っているし。

 国はスウェーデンながらAORど真ん中のサウンドは、この時代になってファンを満足させるだろう内容だ。


 そんな統一感あるアルバムだが、9曲目のイーグルスを髣髴とさせるRiding This Highway と言う曲で違った一面を見せている。コーラスなんてゲストでリンダロンシュタットがハモると似合いそう。

 10曲目はシンセサイザーによるインストゥルメンタルで北欧人の血がここで表れる。しかし、最後の11曲目でスティーリー・ダンを思わせる7分超えで、やっぱりAORのアルバム、バンドなんだなあと強く主張する曲で終わる。


 ヴォーカルは少々英詩の発音が垢抜けしきっていないが、リチャードペイジを思わせる美しいテナーとメロディーには文句の付けようがない。

 Airplay 風の重ねられたギターのアレンジやAORに共通したキーボードのアレンジなど、さすが本場のアメリカ人を触発させただけある素晴らしい作品だ。


 北欧スウェーデンの福祉レコーディングスタジオの存在が、流行らない音楽でも何でも自由に作れると言う環境がちょっとした世界を変えた良い例である。21世紀になる前でも英米の古いアーティストが北欧に流れ始めたと言う現象がそれを物語っている。

 それを考えると、これからの社会のあり方も商売にならなかったら出来ないと言う狭い右よりの考え方が崩れて行くのに期待し、古くても、流行らなくても誰かが優れた作品を生み出される世の中になればとの展望はある。

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