プロローグ

僕らがこの島に辿り着いてから、既に二週間は経っただろうか。


最初の頃は眺望の良い浜辺で船や飛行機が見えはしないかと遠くまで広がる水平線を眺めていたのだが、その希望も2日もすれば打ち砕かれた。


島自体はぐるっと歩き回っても1時間程なのでそこまで広くはないのだが、島には自然も多く、島の中央辺りには直径15メートル程の雨水が溜まって出来たであろう池があったため、純水が確保できるのは不幸中の幸いだった。


池は深い所で水深二メートル程で、底には藻が生えてる部分はあるが水は比較的澄んでいる。小魚等の生き物は見えない為、最初飲む時には勇気がいった。


島内には木々は沢山生えてはいるものの、落ちている木の実や木に生っている赤い小さな実のような物も食べられるか不明である。


浜辺付近に生えている木に成っていた1cm程の赤い実は口に入れてはみたものの、苦味が強かったため、食べれない物なのだろう。


今まで島内で見つけた動物はネズミ、カモメ、カエルくらいであり、猪や鹿などの巨大な獣は見かけていない。太古の昔に海面の上昇によって出来た島ならば兎は住んでいるのかもしれない。


そのような状況の為、浜辺に打ち上げられる魚が貴重な食料となっている。

できるだけ食べられる部分を探しながら食べてはいるが気温が高い為、中々鮮度は厳しいものがある。


それでも、最初の内はたまに打ち上げられる鮮度が良さそうな魚は生で食べていた。


生魚独特の匂いが気になって食欲も湧かなかったが、空腹には耐えられるはずもなく、食べている内に徐々に匂いに慣れてしまった事は進歩と言ってもいいのではないだろうか。


さて、現在の状況を軽く説明できたので、なぜ自分がこの無人島にいるかをここで話しておきたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る