第3話 波乱

夜の静寂を切り裂くように、召喚の光が辺りを包んだ。

アリオとリシェルは目を見開き、息を呑んだ。


光の中から現れたのは、威圧感のある巨漢と、その隣に立つ狡猾そうな男だった。


「ふははは! 我を呼び出したのは誰だ!」


堂々たる体躯を揺らしながら、高笑いを上げるその男は、かの悪名高き董卓だった。

彼の傍らには、冷徹な目を光らせる李儒が控えていた。


「……リシェル、これは……!」


アリオは思わず後ずさる。

彼が想像したのは英雄と軍師だった。しかし、現れたのは暴君とその策士。


リシェルは青ざめながらも、何とか冷静を保とうとした。


「董卓……中国の歴史でも最も残忍な君主の一人よ……。」


「なるほど、我を知っているか。」

董卓は不敵に笑い、アリオたちを見下ろした。


李儒は冷静に状況を分析し、静かに口を開いた。

「主よ、おそらく異国の者と見受ける。なぜ我々を召喚した?」


「そ、それは……。」

アリオは言葉に詰まった。


リシェルが一歩前に出て、慎重に言葉を選んだ。

「……私たちは、旅の助力となる強き者を召喚したかったの。」


「強き者か。」

董卓は豪快に笑い、酒を求めるように手を振った。


「ならば決めることは一つ。我が力を貸す代わりに、そなたらは我に従うのだ。」


アリオとリシェルは顔を見合わせた。

召喚した相手は、制御できるものではなかった。


彼らの旅は、思わぬ形で波乱の幕開けを迎えたのだった。


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魔法使いアリオの冒険 風馬 @pervect0731

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