魔法使いアリオの冒険

風馬

第1話 出会い

酒場で皿洗いをするアリオだったが、魔法使いになる夢を諦めたわけではなかった。

経験がないから就職できないと思い、バイトをしながら魔法図書館に足を運んだ。


図書館には、様々な冒険譚が詰まっていた。召喚魔法でドラゴンを倒した記録、古代の戦士たちの戦いの物語――それらはすべて、アリオにとって新鮮で刺激的だった。


ある日、彼は魔法図書館で一人のエルフの女性と出会った。名をリシェルという。長い銀髪を持ち、静かに本を読む彼女は、アリオと同じく魔法を学んでいた。


「あなたも魔法使いを目指しているの?」


最初は本の話をするだけだったが、やがて二人は共に魔法の研究をするようになり、いつしか互いの夢を語る仲になった。リシェルもまた、冒険に憧れていたのだ。


それには資金が必要だった。

アリオは朝から晩まで皿洗いのバイトを続けた。冷たい水に指先はふやけ、洗剤で肌は荒れた。それでも、魔法を学ぶための時間だけは削らなかった。リシェルと共に魔法の練習をし、古代の呪文を覚え、旅に必要な知識を蓄えた。


五年の歳月が流れた。


指は荒れ、腕は太くなった。しかし、その手には魔導書と冒険の地図が握られている。

ようやく、準備が整った。


「行こう、リシェル。」

「ええ、アリオ。」


二人の冒険が、今始まる。


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