第三章祖母の予言
第3章:祖母の予言
透は祖母の言葉を思い出していた。
「透、お前の力は決して一人のものじゃない。そのうち、お前と“共鳴”する者が現れる。」
「共鳴…?」
「そうだ。その時、お前は選ぶことになる。この力を使うか、それとも…」
祖母はそれ以上を語らなかった。だが今、その意味が分かりかけていた。ヒカリとの出会いは、偶然ではなかったのかもしれない。
しかし、二人が能力を使い続けるうちに、妙なことが起こり始める。
「ねえ、最近変じゃない?」
「何がだ?」
「クラスの人たちの心の声が、時々……聞こえる気がするの。」
透は、それが気のせいではないことを理解していた。
――ヒカリだけじゃない。他の人間も、微かに“共鳴”し始めている。
そんな二人の前に、ある人物が現れる。
「ようやく気づいたか。」
黒いスーツを着た男が、無表情で立っていた。
「お前たちは、この世界のルールを壊す存在だ。」
透とヒカリは、思わず身構える。
「……どういうこと?」
男は淡々と言い放った。
「この世界の住人は、全員が超能力者だ。ただし、そのことを誰も自覚していない。」
「……!」
「本来、人は能力を持って生まれる。しかし、“ある仕組み”によって、自分が能力者であることを忘れるようになっている。だが、お前たちのように能力を使うことで、他者の意識を揺るがせば……共鳴は広がる。」
透とヒカリは、信じられないという表情で顔を見合わせた。
「じゃあ、私たちは……」
「そう。“目覚める”きっかけになった。」
透の祖母が言っていた「共鳴」とは、このことだったのか。
だが、彼らはまだ知らなかった。
この世界の「ルール」を守る者たちが、すでに動き始めていることを――。
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