【2】目指すもの
コンテストに挑戦して書籍化を目指す周囲を見て、「素敵だな」と思いつつ、自分もそうなりたい、という野心や競争心のようなものは沸かず、それはそれで不健全なのではないか、自分の可能性を見くびっているのではないか、と思っていました。
わたしは自分の本心を自分にもバレないようコーティングするような生い立ちだったので、「本当はバチクソ嫉妬してるのに、そんなの気にしないってカッコつけてるだけなのでは」なんてことも考えました。
それで、自分も小説のコンテストに提出してみたりしたのですが…… つまらないものを書いたとは思ってないけど、入賞する気は全然しなかったし、発表日を気にすることも忘れてた。
心がそっちに動かなかったです。
読んでくれた方が感想くれただけで大満足してコンテストとかどうでも良くなってて、あー、わたしは書籍化とかしたいわけじゃないんだな、と思いました。
自分の力を引き出せたり、誰かと一緒に楽しめたり、誰かの心を動かせたりしたらそれでいい。
そういうのが、思い込みの建前じゃないんだなぁ、と自分で納得しました。
もちろん、嫉妬に狂って野心ばりばりでエネルギッシュに創作するあり方も素敵だし、憧れもあるんですよ。そこまで欲しいものがあって向き合える濃密な生の輝きは、きれいごとじゃないのだろうけど美しい。
でも、わたしはむしろ、注目を浴びると思うと腰が引けてしまって……社交性の問題なのかな。目立ちたい欲は薄いみたい。
わたしにとって、創作は戦場ではなくて、自分の整理なんだと思います。
自分の中にあるものを磨いて並べるような。
一流になるエネルギーはないかもしれないけど、わたしはわたしなりの表現を残したいし、成長もしたい。
振り返って目を細められるような活動をして、「たくさん生きたなあ」と思いたいです。
その辺が、自分の目指すところなのかな。
ときたま、つらつら 咲良 綾 @mizumi
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