第3話 朝と写真フォルダ
高校生2年生が始まる新学期。
月と深は一緒に登校していた。
いつも月が迎えに行き、深はベッドから這いずり出た後、いつ間にか部屋に入ってる月に引っ張られ、制服に着替えながら道を歩く形だ。
「少しは待ってよ」
「私が作ってきた味噌汁が冷めるでしょ」
「あんま紙コップで味噌汁持ってくるやつ居ないだろ」
この地域の4月はまだ寒く、桜は咲かず湯気は高く舞っていた。
「熱!」
「美味しい?」
「まだ感じませぬ」
深が脊髄反応で唇を離し、月は脊髄反応で質問をした。
「美味しく無いの?」
月が少し不安げに問いかける。
「ふー、ふー、、ズズ……」
ようやく脊髄反応が起こらなくなった程度の熱さになった味噌汁を飲んだ深は。
「最高に美味い!」
と元気良く答えた。
「ありがとう!」
ぱぁと月は表情を明るくさせ、自信に満ち溢れた歩きになった。
ヤンデレは自己肯定感が低いはずが、この時、月はとても自信を持っていた。
なぜならかれこれ毎日、持ってくる朝食を褒められているからである。
しかし、突然立ち止まった後、まだ自信を持っていなかった月が深に仕掛けたのは……
「ねぇ、写真フォルダ見せて?」
深は少し考え、気まづそうにしながらスマホを渡した。
「パ、パスワードは…その…お前の誕生日……」
月は少し驚きながらもスマホを受け取った。
そしてまずロック画面が映し出される。
「私……?」
ロック画面には一緒にピザを食べた時の月。
月は少し頬を赤らめ、ロックを解除した。
(0818...)
ホーム画面が開かれ、アプリが表示される。ロック画面とホーム画面の待ち受けは同じであった。
そして、少し躊躇いながら月は写真フォルダを開いた。
「えぇ……」
中には月との思い出の写真もあるが、数学、化学、物理などの理系科目の問題が所々混ざっており、少し不気味であった。
(……!?)
月は驚く。月が映ってる写真は全てお気に入りのマークが付いていたのだ。
「……」
「そ、その……返すね……?」
気まづそうに顔を合わせない深に月はスマホを渡した。
深は恥ずかしがり、月は口角が上がりっぱなしという結果になり、話が終わった。
その後、月は深に寄りかかり深は顔を背けたまま2人は学校へ行った。
ヤンデレの幸せな敗北 朱汎 @shuhiropp04
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ヤンデレの幸せな敗北の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます