僕の岩はガラス玉のように転がり落ちた

縞間かおる

第1話 『非課金』のプロ

 きっかけは当時、僕が気になっていた女の子のひと言だった。


「『宵闇に誓うforever love』の靴下!SRなのよね~!今日出たガチャ券でもダメで……ダイヤまた200貯めなきゃ!!」


 『非課金』については“プロ”のゲーマーだった僕は、彼女が欲しがっているのは着せ替えゲーム『ポケシル』のアイテムだとすぐに分かった。

 僕は広範囲かつ複数のゲームをやり込む事によって各々のゲームのアイテムを貯め込み、SNSを通じ、アイテムの交換や売買(あくまでも現金や仮想通貨では無く“ガチャ石”だったが)を行い自分のやり込みたいゲームに回すプレイスタイルだ。


 なので、つい、言ってしまったのだ。


「『シルクイエローの靴下』なら4つ持っているからひとつあげるよ」


 女の子はまるで“犬のウンチ”を踏んだみたいな顔で一瞬、僕を睨み、すぐに隣の子とゲームの話を続けた。


 僕へのいじめが始まったのは、それからすぐの事だ。

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