この作品を読んで、そんなヨーロッパの格言があったのを思い出しました。
主人公であるトムは信仰心が強く、教会へ通うことを欠かさない。一方で知り合いのネイトはギャンブルばかりやっている。
トムはある時に「天使」を名乗る羽根を持った男から、「可哀想な乞食たちに金を恵むように」と教えられる。それこそが善行だと信じ、トムはそれを喜んで実行する。
果たして、彼のそんな行動のもたらす結末は? そして、天使を名乗る男の正体は?
この話は一種の「寓意」を含んでいると感じました。現代の色々な場所で、この物語に通ずる出来事が行われているかもしれない。
「地獄への道は、善意によって舗装されている」
第2回十字軍を推進したクレルヴォーのベルナルドゥスの言葉。
善意のつもりでやった行動が、知らず知らずに最悪な事態を巻き起こしてしまうかもしれない。
そして、人の善意につけこむ形で「何者か」が災厄をまき散らそうとすることも、また起こり得る。
SNSなどで正義を訴えて無実の人間を傷つけさせる行為とか、現代でも人を言葉巧みに操って、善意や正義という形で悪をなさせる話は数多く存在しています。
そんな深いメッセージ性を持った、とても心に響く物語でした。