うつくしい世界
時透真澄
うつくしい世界
うつくしい世界
そんなものなんぞあるはずがない
汚泥にまみれたこの世界で
それでも前へ進もうと
もがいて足掻くそれが
うつくしいというなら
そうなんだろう
そうなんだろうね
うつくしい世界
そんなものなんぞあるはずがない
泥濘に足をとられ
沈んでいくこの身体
這いあがろうとする手を踏ん付けられ
足を引っ張られても
それでもと前に進もうとする
それをうつくしいというなら
そうなんだろう
そうなんだろうね
うつくしい世界
そんなものなんぞあるはずがない
かろうじて息をしているその側で
なぜ生きていると詰られる
それでも呼吸をして
じたばたもんどりうつ
それをうつくしいというなら
そうなんだろう
そうなんだろうね
汚れた世界もそのままに
うつくしいというなら
そうなんだろう
そうなんだろうね
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