公園の

stdn0316

第1話

 家の近くに古い公園がある。

 自分が子どもの頃からある公園で、遊具も少し錆びついていて人も少ないため昼間でも少しもの寂しい雰囲気の公園である。

 混まないのは親同士のコミュニケーションが苦手な自分にとってありがたいのと、子どもは喜んで遊ぶためよく連れて行っていた。

 その公園にはいつも同じゴミが捨ててあった。

 置いてあるというべきか。

 ゼリーやプリンの容器のような大きさのプラスチック製のカップで、中に水が溜まっている。近くに水道はない。

 それだけなのだが、子どもがいじってしまうのが何となく嫌で、見つけると水をこぼして公園の隅へ置いていた。

 その日も水の溜まったカップが置いてあった。

 急に走り出した子どもの足にカップが当たって倒れ、靴に水がかかってしまった。

 中の水が少し濁っていたこと、子の靴が濡れてしまったことに苛立ち、つい

「毎日毎日なんでゴミ置いてるんだよ、邪魔なんだよ」

 と言い、倒れたそれを奥の茂みに投げ込んでしまった。

 何となく、周囲の空気が変わったような感じがした。日が隠れてきたせいだろうか。

 茂みの奥から、がさっと音が聞こえた気がして、靴を洗いたいこともありその日はすぐに散歩を切り上げてしまった。

 次の日公園に行くと、またカップが置いてあった。

 一つだけでなく、無数に。

 赤や黒の濁った液体が溜まっていた。

 それ以来、その公園には行っていない。

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