眠れぬ夜は羊数えず言葉を浮かす
仄々忱(紫村彰)
二度寝サイコー
言葉が落ちる。ひらひらと。
ひらひらひらり、ひらひらり。
私の意識の手を引いて、こちらをちらちらのぞいてる。
まだまだ寝ないで遊ぼうよ。
意識をうつつに引っ張って、夢にうつつを良しとしない。
なんてたちの悪いお誘い。
もう寝かせてくれよと手を離す。
からだを返して葉を落とす。
はるうらら、あたたかな風に身をまかそう。
そよそよそより、そよそより。
まだいかないで、いやいやだ。
意識が落ちる。するすると。
するするするり、すらするり。
私のからだを手放して、上からそちらを見下ろして。
もうもう遊びはもうおしまい。
現をいしきと引き剥がし、ゆめに意識をデリバリー。
ばいばい、遊びたがりのきみ。
さあ夢に飛び込み空を飛ぼう。
空から海へ、海から空へ。ついでに宇宙へ飛び出そう。
ほしのうみ、この輝きを覚えていよう。
きらきらきらり、きらきらり。
お楽しみ、おわりのじかん。
理性が起きた。ぱちぱちり。
ぱちぱちぱちり、ぱちぱちり。
理性が優しく体を起こす、意識をたぐり寄せながら。
でもゴングはまだ鳴っていない。
まだ寝てようよと寝具が囁き、迷いながらも引き返す。
まるで悪魔のお誘いだ。
まだ寝ててもいいよと唆す。
いしきを沈めて芽を埋める。
小春日和の、優しい陽だまりに避難しよう。
ぽかぽりぴりり、ぴりぴりり。
ゴングが鳴った、起きたくない。
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