第2話 トラウマ


前の彼と別れた母は、精神的に不安定になってしまいました。

大量にお酒を飲んではトイレで吐き、泥酔状態で眠る日々。

私はそんな母の姿を見て、とても心配でした。


この頃から、母は私に優しくする余裕もなくなり、きつく当たるようになりました。でも、時々眠っている私に「いつも怒りすぎてごめんね」と謝っていました。


そんな中、母にまた新しい恋人ができました。

彼は子供が苦手な冷たい人でしたが、真面目に働き、収入も安定していて、浮気もしないタイプでした。


彼と母は順調に愛を育み、数年後には結婚しました。

私は小学生になっていました。

彼は冷たい人でしたが、母が幸せそうになり、私には新しいお父さんができたことが嬉しかったです。

私は彼と仲良くなろうと、自分なりに努力しました。


ですが、この日々が突然変貌する出来事が起きました。

ある日、母とその彼と三人で出かけました。

母達はインテリアショップに行くと言っていましたが、当時の私は興味がなかったので、「車で待ってる」と言って一人で車に残ることにしました。


しばらくして退屈になり、ふと彼の携帯を見つけました。

その頃はちょうど人の携帯を見ることにハマっていて、よく母の携帯の写真フォルダを見ていました。

そこで、彼の携帯の写真フォルダも見てみることにしたのです。


すると、そこには目を疑うような写真が入っていました。


着用後の汚れた母の下着と私の下着の写真。

眠っている私の下着を捲り撮られている陰部の写真。


小学生だった私は、まだ何も知らない子供でした。

その写真を見たときは本当にショックで、怖くて仕方がありませんでした。


どうしてそんな写真を撮られているのか、子供ながらに良くないことだと感じました。

驚きと怖さで泣いてしまったところに、母達が帰ってきてしまいました。

「どうしたの?」と問い詰められましたが、なんと説明したらいいのか分からず、何も言えずに誤魔化すしかありませんでした。


あの日の出来事を母に伝えることができぬまま、約3年の月日が経ちました。


言えずに過ごした3年間、彼との生活はどんどんストレスになっていきました。

家を建てて引っ越しをしたのですが、新しい場所でもいじめられ、抜毛症になったり不登校になったりしてしまいました。


母に伝えられなかったのは、母の幸せを壊してしまうようで怖かったからです。


そして、中学に上がってすぐ非行に走ってしまうようになりました。


しかし、その頃の友達も良くない人たちばかりで、最終的にはハブられてしまい、売春をしているなどという事も言われていました。


そんな頃、母が妊娠しました。双子でした。

私は姉妹ができることがとても嬉しくて、「生んでほしい」と母に伝えました。


しかし、双子の妊娠生活はとても大変で、途中から母は切迫早産気味となり、長期入院することになってしまいました。


そうなると、必然的に彼と二人きりで生活することになります。

たまに母方の祖母がご飯などを持ってきてくれていましたが、彼と二人きりの生活に耐えきれず、ある日、祖母に打ち明けました。


「あの人と二人で過ごしたくない」と。


祖母は私がそう言う理由を尋ねました。

そして、やっとの思いで、あの日の出来事を初めて人に伝えることができたのです。




3話に続きます。









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