第26話

ずっと、私がこの世で一番不幸で、可哀想で…



なんてさ…


悲劇のヒロイン?

中二病的思考?



でも、彼女と話すと、彼女を知ると、私の事なんて、なんてちっぽけと思えてくる。


幸せの大きさも、不幸の大きさも、比べるものじゃないけど。

でも、つい比べてしまって…



自分より大きな幸せは妬ましくて、自分より大きな不幸は…





「ここ、出てく?」



我ながら、意地悪な聞き方をしたかもしれない。


でも、話をしていたら、どんどん彼女を知りたい。

まだ一緒にいたいと思う。

出て行けといったのは、私なのに。



その反面、やはり両親を独り占めしたい幼稚な私が意地悪な言い方を忘れさせてくれない。



「おと…正和さんには、高校卒業まではここにいるようにって言われたの。

あと2年は…しばらく迷惑かけてしまうけど、ごめんね。」




私に気を遣ってか、お父さんと言いかけて、彼女は父の名を口にした。

この間や、今日の私の発言や態度が、彼女をまた追い詰めてるのはわかってる。



「ここに、居たくない?」



「私が居たら、嫌な思いするでしょ?」



嫌味ったらしくない。


真っ直ぐで、素直。



私の口が余計なことを言うから、彼女をここに居づらくしてる。

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