ツンデレ彼女を好きな10の理由

ゆる弥

好きな理由

「ねぇ、私の事、本当に好きなのぉ?」


 俺が一人暮らしを初めてから住んで五年ほどになるアパートで発せられた言葉。ソファで寝っ転がりながら、突如彼女であるアカリが聞いてきた。なぜ、突然聞きたくなったのかはまったく検討がつかない。


「好きだよ?」


「ホント? じゃあさ、好きなところを10個上げてみ?」


「そんなの簡単だよ」


 俺は意気込んでそう口にした。10個なんて簡単だよ。そんなふうに思っていた。


「まず、第一に顔が好み」


「はぁ。レンだけだって? そんなこと言うの」


 誰がなんと言おうと、俺は彼女が可愛いと思っているからいいのだ。


「二つ目は、スタイル」


「はいー。また見た目ー」


 はいはいーと言いながら手をヒラヒラさせ、そんなんじゃダメだと言う事だろうか。顔が不満気だ。


「三つ目はー、見た目に似合わず、優しいところ」


「何それ?」


 アカリは、見た目はショートで目が細めの為、怖く見られがちなのだ。服装もライダース着て、ダメージジーンズを履くようなパンクチックな見た目。


 それなのに、この前お婆さんが道に迷っている時に目的地まで一緒に行くと言って案内していた。わざわざ一緒に行くような人は中々居ないだろう。


「四つ目はぁ、家族と仲がいいとこ」


「はぁ? それって私の好きな所なわけー?」


 俺は家族とは可もなく不可もなくの仲の良さだ。一緒に買い物に行ったりなんてしない。


「五つ目ぇ、作ってくれるご飯が美味しい」


「そ、そんなの誰でも作れるよぉ。オムライスとかだし?」


 五つ目になってダンダンとデレてきたな。俺はアカリのこういう所が好きなんだ。


「六つ目はねぇ、ちゃんと貯金しているところ」


「金かよー!」


 俺も多少は貯金をしているが、アカリには負けるかもしれない。ちゃんとお金の使い方をセーブできるということは、自制ができているということ。それは、スタイル維持にも繋がっているのかもしれない。


「七つ目、掃除が苦手なところ」


「それって、好きなところなの? ディスってんの?」


 人は誰しも、苦手なものがあった方がいいと思う。欠点を補い合うと、お互いが必要とするという良い歓迎になると思う。


「八つ目ぇ、率直にモノを言うところ」


「た、たまに言い過ぎちゃうけどね。いい所なのか? 反省してるけどさぁ」


 俺的には、反省しているところも可愛いなと思うし。自分が悪いところは悪いと言って欲しいのだ。だから、いいと思う。


「九つ目はね、外では俺に強めに当たるのに、家に来ると甘えてくるところ」


「えー? そ、そうかなぁ。外で強いかなぁ? 家でそんなに甘えてるー?」


 だんだんと顔を赤らめるアカリ。こういう恥ずかしそうにする仕草がたまらないなぁ。


「十個目! 俺はアカリと居るとラク!」


「それは、私を好きなところなのぉ? なんかズルいなぁー」


「なぁ、俺さぁアカリの嫌いなところ一つもないんだよ。むしろ、全部どタイプ」


 これは本当のこと。顔を赤くするアカリが可愛い。


「私もラクだよぉ? レンはぁ、顔はタイプじゃないけどぉ、一緒にいてラクだしぃ。優しいから……すき」


「なぁ、結婚しないか?」


「……本気?」


「もちろん」


「私、男と間違われることあるよ?」


「でも、家だと女丸出しじゃん。それが好き」


「…………ょ」


「んんっ? 聞こえないよぉ?」


「もぅー! 意地悪! いいよ!」


「大好きだぁー!」


 ガッシリと両手で抱きしめてアカリの感触を堪能する。本当に柔らかくて好き。ツンデレサイコー!

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