夜景

 名前のない日は続いて、褪せた記憶だけが残ってしまった。窓の先では光と熱が培養されてあふれかえっている。境も曖昧だけれど、青黒くて真っ白なネオンに正気を奪われるのが怖くて、病的なほど外を嫌ってしまったことは覚えている。隔てる壁は薄くて、意味なんてないけれど、隔てているという心持が最後の砦となっているわけだった。もしもカジキが飛び込んできたのなら、そのまま眠って夢に逃げることにしている。永遠の議題は、解決にもたないと思う。

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