僕の左手が冷たいのは、

僕の左手が冷たいのは

君の右手にあたためてもらうためだと思っていました


それはとんだ勘違いで、ほんとはただの冷え性だったこと

僕は君がいなくなってから知った


君がこの世にいなくたって

朝は相変わらずやってくるし

僕の母さんが焼いた目玉焼きを

父さんはトーストに乗せて食べている


誰に握られることもなくなった左手も

相変わらず冷たいまま


忘れることは悲しいことで

死ぬことは憎らしいことだと

僕は知っているくせに

知っているくせに


いつかきっと、何もなかったように

君の知らない誰かと恋に落ちて

君の温度を忘れていく

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