第3話 1回目ー治療、入院、退院(閲覧注意)

 ODの治療として、よく聞いていた胃洗浄ではなく、活性炭を口から入れて体の外に毒素を出すようなものでした。夢現の状態でおぼろげに口から墨を吐いていたのを覚えています。

 「過剰摂取 活性炭」で検索してください。それです。

 

 ベッドが空いていないからと緊急治療室にしばらくいたそうです。それで余計に金が嵩んだんだと今でも笑い話で言われています。

 緊急治療室を出て一般の大部屋に移ってからの記憶は、とにかくトイレに何度も行きました。

 もともと頻回なところがあり点滴をつけた状態だったのでトイレに行きたくなる度にナースコールを押して看護師さん同行でトイレに行っていました。回数が多いからか意識がはっきりしていたからかはわかりませんが、途中から一人で行ってきていいよと言われて点滴棒を引きずりながらトイレに通いました。


 墨汁が体の中から出なくなってから一食だけ食事が出ました。

 なぜかソース焼きそばでした。というのは他の献立を覚えていないだけだと思います。 

 入院費用は8万円とちょっとだったのですが、あとで同僚から「8万円の高級焼きそばだね」と言われて笑いました。

 週末入院で週明けには退院して仕事にも行っていました。

 

 退院に向けて、自殺企図の気持ちが強かったら入院が長引くと言われていましたが、私はその時には「死ぬのは意外と大変なんだなあ」の気持ちになっていて自殺企図などの気持ちは全然ありませんでした。

 「ODなんかじゃ人は死ねない、もっと頑張らないと死ねない」

 「自殺未遂の患者なんか治療したくない」とお説教を医師からされました。

 それから父親が病室に来てすごく怒ってて「情けない」とか「お前なんかなんにもしてないくせに病むなんて生意気だ」とかなんとか言われて、当時は親の異常さをよくわかっていなかったのでこんなことにもがっかりしていたような気がします。

 ちなみにその時母親は認知症が進んでいたので私になにが起きたのか理解してなかったと思います。

 

 退院して何ヶ月か実家で過ごしてから、私は友達に助けられてほとんど夜逃げ同然の引っ越しをしました。 

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