宇宙に属さない領域で、夜那は生まれたの。
健野屋文乃(たけのやふみの)
悪しき幻想を滅ぼす事。
表示されていた数字が、998から999に変わった。
宇宙に属さないこの領域。1つの生き物が生まれた。
1つの生命が生まれたにも関わらず、誰もいないこの領域では、何の音もしなかったし、誰もその生き物の誕生を祝福したりはしなかった。
仮に誰かいたとしても、それは変らなかっただろう。
生まれたばかりだが
もう日が昇る事のない世界を滅ぼす事。
悪しき幻想を滅ぼす事。
誰かが命令を下したわけではない。
ただ表示された数字が998から999に、そしていずれ1000に変わると言う事実だけが存在した。
それがどれだけの大きさか、この宇宙に属さない領域では、対比する者が何もない。
大きな扉が開き、バサッと羽ばたく音だけが響いた。
大空を飛ぶ心地好さを、身体が感じていた。
深い森を抜けると平原に出た。
平地には街があり、多くの建物が建っていた。
その一つ一つが世界なのだろう。
その中に悪しき幻想の世界を思わせる建物が見えた。
見るからに悪しき輝きを放っていた。
「あれ、おかしい」
悪しき幻想の世界では、日が昇り新しい1日が始まろうとしていた。
「なんだ、そう言う事か」
表示された数字は、999から1000には変わらず、998へさらに997へと変っていた。
「そう言う事もあるんだ」
太陽が姿を現し始めると、
「やれやれだよ」
完
宇宙に属さない領域で、夜那は生まれたの。 健野屋文乃(たけのやふみの) @ituki-siso
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます