信長×AI:時空を越える天下統一

れおんがくしゃ

プロローグ

暗い地下研究施設の中、巨大なモニターが静かに光を放っている。その画面には、一つの名前が記されていた。


「Project Nobunaga」


このAIは未来の人類の存亡をかけた最後の賭けだった。気候変動、資源の枯渇、無限に広がる社会的不安定……未来の地球は限界に達していた。

研究者たちは過去の歴史から学ぶべく、革新のリーダーたちをモデルにしたAIを開発してきた。その中でも最も注目を浴びたのが、戦国時代の織田信長を模した「Project Nobunaga」だった。


信長の大胆な戦術、固定観念を打ち砕く発想、そして天下布武を掲げた理想。もし彼が現代に生きていれば、この混沌とした未来にどのような答えを導き出すのか——それがAI開発の目的だった。


だが、プロジェクトが佳境に入ったその時、研究施設に異常が発生する。暴走する時間転移装置。放たれる高エネルギー。AIにアクセスしていた研究者・神崎一真(かんざきかずま)は、装置に巻き込まれた。


気がつくと、一真は見知らぬ場所に立っていた。土の匂いが鼻をつき、草むらの向こうには荒れ果てた城が見える。空には鉄砲の煙が漂い、聞き慣れない武士たちの怒声が響いている。


「……ここは……どこだ?」


一真の腕には小さなディスプレイが光っている。そこにはAIのロゴが映し出され、合成音声がこう告げた。


「織田信長を補佐せよ。この時代を変革し、未来を救うのだ。」


そして目の前に現れたのは、若き織田信長その人だった。彼は一真を値踏みするような視線で見つめると、口を開いた。


「貴様、何者だ?怪しい姿だが、ただ者ではなさそうだな……。」


信長の眼光が鋭く一真を射抜く。その瞬間、一真の中でAIが静かに起動した。


「さて、我が主君よ。この戦国乱世、あなたの天下布武を私が導きましょう。」


信長の理想とAIの知恵が交差する新たな物語が、ここから始まる——。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る