SNSに透けて見える「欲」
※注意※
・私の性格の悪い部分がものすごく出ているので、注意してください。
・読んだ人は、たぶん誰か特定できてしまうと思うけど、別に当人を傷つけるつもりはないので、そっと心にしまっておいてください。
SNSを見たり、実際に話したりすると、すごーく嫌な気持ちになる! という女性が、2名ほどいる。面と向かって何かを言われたことはないのだが、心に粘り気のあるものが残って、ガムを踏んだあとみたいになる。
彼女たちに共通しているのは ①〇〇大学卒業、②小さい時に海外(国名まで書くとバレるからボカすけど、同じ国である)に住んでいた、③夫が外国人(これも同じ国)ということだ。
昔は、このモヤモヤを「実は私もそうなりたいと潜在的に憧れていて、現状に満足していないから、羨ましい感情がひん曲がって、こんな風に思っちゃうんだろうな……」と、自分の卑屈さから来るものだと思いこんでいた。
だって、彼女たちは別に性格が悪いというわけではないから。周りに友達もいたし、仕事でも“そこそこ”成功していた(“そこそこ“というのがミソで、突き抜けて何かを成し遂げたことはない。2人とも転職して、今は全く違う業種に行った)。あの時の私は、本当に欲しいものや、なりたい姿がよくわかっていなかったから、嫌な気持ちをそのように理由つけていた。
じゃあ、今はどうか。2人とも傍から見ていてよくわからない(たぶん実際に説明されてもよくわからない)活動でお金を稼いでいて「私はものすごく自己実現できてます!ハッピーです!」みたいなのをひけらかしている。なりたいか? そんなのに。誰もなりたくはないだろう。
でも、今でも彼女たちのSNSを見ていると、胸焼けがする。つまり、嫌な気持ちの正体は“羨ましさ”じゃなかったということだ。なぜ彼女たちの現在を知っているのか。それは私が、定期的に彼女たちのSNSを見続けていたからである。
「嫌ならSNSを見なきゃいいじゃん」と思う人がいるかもしれない。でも、「この気持ちは何だろう この気持ちは何だろう 目には見えないネバネバーが……♪」と、昔からずっと気になっていたのだ。
ちなみに、気に入らないものをウォッチし続ける性癖の持ち主は、私だけではない。楠木建先生もかつて講演会で「自分がつまらないと思う本を読むようにしている」と話していて、“特殊読書”と名前までつけていた。それと似たようなものだ。
って、性癖の話をしているんじゃない。話を彼女たちに戻そう。この気持ちの正体を突き詰めるために、二人の言動を観察し続けていた私は、あることに気がついた。昔からの友達が一人もいないのだ。
たまに“〇〇年前からの友達♡”みたいなのがオシャレなレストランとともに登場するが、好意のベクトルは彼女たちから友達にしか向いていないんだろうな……というのが分かる。だいたい写真を見ればわかる。どちらも目に力が入りすぎている。欲が絡んでいる時、人間はまなざしが強くなる。実際、二人とも自分より学歴なり職歴なり、何かが自分と同等あるいは上の人間じゃないと、絶対に付き合おうとしない。
気心の知れない友達との写真は、表情がゆるんでいる。場所もそう。誰かの家に集まったり、家の近くのカフェで話したり、近所の公園で子ども同士を連れて会ったり、そんな感じになる。そもそも昔からの友達がたくさんいるんだったら、わざわざSNSに書かないし。
じゃあ、どうして彼女たちにズッ友ができないのか。それは、影がないからだ。
もちろん彼女たちにだって、つらいこととか、嫌なことはたくさんあっただろう。実際に弱音を吐いている姿を見たこともある。でも、そんなHPが下がっている時でさえ、彼女たちには影がない。「こんなにつらい経験があるなんて、私はこんなすごいところに来ちゃったからなんだろうね」がにじみ出ているし「〇〇と〇〇でこんな状況になっちゃってる……(どっちも周りが羨ましく思うようなこと)」とかほざくから「こいつ、HPは弱ってるけど、MPは満タンやんけ! お前は自分で回復しろや!」と思わせてしまうのだ。
人には誰しも、ダメなところとか、弱いところとかがある。明日が原稿の締切なのにp〇xivでエロ小説を読み漁っちゃう、スケベな性格とか。銭湯のロッカーの近くに落ちていた100円玉をネコババしちゃう、お金に汚い部分とか。そんな自分に潜む「影」の存在に、大人になるにつれて気づくようになる。影を隠そうとすると、いい感じに「光」の部分もできてくる。
でも、彼女たちは違う。自らの影の部分を直視しないまま「私はすごい」と思っていて、光の部分だけをこちらにぶつけてくる。影がないのに影があるようなふりをして「私はよく考えているのよ。文化人なのよ」なんてポーズをして、自分は大した人間だと思われるように振る舞う。そのハリボテ感に肩透かしを受けた気になって、見ていて寒々しくなる。だから、心に粘り気が残るのだろう。
中身がない人間は、孤独である。物珍しさで寄ってくる他人はいても、長く続かない。上っ面で生きてきて、飾ることにしか興味がない人間なんて、SNSで近況を知ることができれば足りるから。10年後にはどんな姿に進化しているか、なかなか見ものである。そんなわけで、私はこれからも彼女たちの観察を続けると思う。
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