EP.3 日常

依織いおりさんがなぜ自殺したのか、私なりに考えてみたんです」

琴奈ことなは言った。

「それで、1つの仮説ができたので、」

琴奈は何かを取り出す。そして、それを僕に渡してきた。

みのるさんに、その仮説を書いたメモを渡しておきます。私は急用で行けないので、3人で確かめてきてくれませんか?」

それは、言われた通りメモだった。

ちら、と僕が中を見ると、「実さん」と琴奈に制止される。

「中身はお楽しみですよ」

そんなに楽しみにするほどのことでもない、と言おうとしたが、やめておいた。

実際、見えた中身は、

[依織][いじめ][死因]

…こんなの、楽しみにできない。

僕はメモを上着のポケットに入れ、琴奈に「分かった」と言った後、2人に「行こう」と先を促した。

「それでは、また」

琴奈はそう言って、僕たちに手を振っていた。

その後に見えた口の動きは、今はまだ、分からなかった。

〔後で、実さん〕

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