EP.2 のどかな風景

「やっと来た、もう。遅いよ、みのる

僕が支度を済ませて2人の元へ行くと、久里くりはそう言った。

僕はその端正な顔立ちに2秒ほど見惚みとれたが、久里の「なに?私の顔に何かついてる?」という問いかけに、すぐに「ごめんごめん、何もないよ」と謝って、早足で歩きだした。

そしてしばらくして、

「あ、お姉ちゃん!それに、実さんと陽登はるとさんも!」

前から聞こえてきたその声に、僕は顔を向けた。

「あ、おはよう。琴奈ことなちゃん」

「はい。おはようございます、実さん」

彼女は青葉あおば 琴奈、久里の双子の妹で、僕達と同じ大学に通っている。

あ、そうだ、と彼女は言った。

「最近、依織いおりさんのことで新しいことが分かったんです。ちょっと検証してみたくて」

依織さん。土岐とき 依織のことで、僕達と同じ中学校に通っていた。

そう、のである。




彼女は、僕達が中学3年生の時、

「依織さんがなぜ、」




自殺している。

「自殺したのか」

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