オリジナル

ある日、都会に住む大学生のタケルは、友人から「オリジナル」と名付けられた不思議なアプリを教えてもらいました。そのアプリは、ユーザーが自分の履歴書や自己PRを入力すると、オリジナルのキャッチコピーを生成してくれるというものでした。興味を持ったタケルは、すぐにアプリをダウンロードしました。

最初は楽しく使えて、彼のプロフィールにぴったりなフレーズが次々と出てきました。タケルはこのアプリを使って、友人たちに自分の魅力をアピールすることに夢中になりました。しかし、アプリはいつの間にか彼にとっての「オリジナル」になっていくような気がしました。

ある晩、タケルはアプリを使っていると、突然変なメッセージが表示されました。「あなたのオリジナルを見せてください。」と書かれていました。最初は面白いと思って無視しましたが、次第にそのメッセージがしつこく表示されるようになりました。タケルは興味津々になり、入力してみました。「私のオリジナルは、自分を偽らないことです。」

その瞬間、アプリが反応しました。タケルは目を疑いました。「それは本当ではありません。あなたのオリジナルは、他人にとってのあなたです。」彼は不安を感じ、アプリを削除しようとしましたが、画面から削除することはできませんでした。

その晩、タケルは恐ろしい夢を見ました。彼は鏡の前に立ち、自分の姿を見つめていると、バッタリと倒れた自分の姿が映し出されました。その瞬間、「あなたは誰ですか？」という声が響き渡りました。まるで彼の内面を見透かされているような感覚でした。

目が覚めてすぐ、アプリを再度開いてみると、画面には「あなたは本当に自分を知っていますか？」というメッセージが表示されていました。彼はもう二度とこのアプリを使わないと決めましたが、その後も夢に出てくるオリジナルの概念に悩まされ続けました。

タケルは気づきました。オリジナルとは、自分のアイデンティティの核であり、他人が思う自分とは違う面を持っていること。しかし、その「オリジナル」を理解することは、時に恐ろしい旅になることもあるのだと。