第九話 体育祭本番!①

今日は待ちに待った体育祭

三年生初の学校イベント

二年生の頃は『player』の周りに女子がいなかったからほとんど意味がなかった

だから初めての学校イベントだとも言える

何が起こるか楽しみだなー

お風呂に入って体育服に着替える

体育祭の時は体育服で登行だからね

「じゃあお母さん、お父さん

行ってきます」

いつものように仏壇に手を合わせる

そしてすぐ隣の仏壇にも手を合わせる

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい


「アカネ!やっと来たか」

学校に着くと早速『player』が声をかけてくる

まだ始まるまでに時間があるはず

何か予定でもあったかな?

「どうしたのー?アキラ!」

篠原しのはらさんが最後の練習に付き合ってほしいって連絡くれたからよ

ちょっとしたチェックだ」

「そうなんだね!

…篠原さんの連絡先持ってるんだ!」

『player』はしまったと顔をする

「私は女子と仲良くしてくれて嬉しいよー!」

「そんなにニヤニヤすんじゃねー

それにな…」

「それに?」

『player』は照れくさそうに向こうを見てから

「お前が一番だから」

「…ん?」

「二度は言わねぇから!」

照れたヒロインのテンプレートのように顔を隠して走り去る『player』

「…は?」

何があったんだ今


~now Loading~


応援テントに向かうと先に有愛うめがいた

なんかいつも以上にそわそわしてる?

鼻歌も歌ってるし

あ、頭揺らし始めた

なんか行事が楽しみな小学生みたい

「おはよう!有愛」

「ん、おはよ

アカネ」

「なんか今日機嫌いい?」

「やっぱり分かっちゃう~?」

「それはね!何かあるの?」

「実は…お母さんが来るんだ!

仕事で忙しくて学校のイベント来れなかったんだけどね」

有愛のお母さんかー

どんな人なんだろう

場合によってはヒロイン候補になるかも

「お母さんか

あとで挨拶させてね」

「!もちろん」

満面の笑みで答えてくれる

可愛いねー

お願いだから『player』にしてください


~now Loading~


どうやら『player』は篠原さんの練習に付き合ってるようでなかなか顔を見せない

…真のヒロインは篠原さんだったのか

確かに有愛は私にぞっこん気味だし成実なるみは…

「えーそんなことないよ」

「いえいえ

成実さんの運動神経の良さは僕が知ってます」

「でもモブも足速くなったんでしょ?」

「まぁそれは」

「…期待してんよ?」

「え…まぁはい」

お互いに顔を真っ赤にしながら照れているモブと成実を見る

…何があった!

「…なんかアカネ

凄い顔してる」

「全然そんなことないよ!グギグギ…」

「えぇ?」

頭を抱える

明らかに二人の距離が近くなってる

なんか最近話始めたなと思ったけど

なんかずっと話してるなとは思ったけど!

あまりにも早すぎないかな⁉

『player』は一年かけてもそんなイベントなかったですよ⁉

この世は無常なり(『player』を除く)

トホホ…

「あーもういいわ!

もうすぐ出番だよね!」

「そ、そうだね」

「有愛!行くよ!」

「オッケー…?」


~now Loading~


200メートル走

全員参加の競技

純粋な足の速さを同じくらいの足の速さの人と競う競技

…のはずなんだけど

「うおおおおおおおおおおおおおおお!」

『アカネ選手!ぶっちぎりです!

一体何があったんだぁ!』

怒りのまま走った私は他とかなりの差でゴールした

おかしいな

一番足の速いレーンのはずなんだけど

後に同じレーンで走った成実は語る

「あれは修羅だよ

人間の速さじゃない」


一番初めに走った私は一足先に応援テントに帰ってきた

本気出して疲れたから途中で買ったペットボトルの水を開ける

ふぅー生き返る

「アカネっち速すぎ~」

突然後ろから抱きつかれる

成実だ

一緒に走ってたんだ

全然気づかなかった

「成実…暑苦しいね!

ゴメン離れてー!」

「追いつこうと頑張ったんよ?

そしたらこんなに汗かいたし~」

「それはゴメン!

色々考え事してた!」

「それは調子悪い時の言い訳なんよ」

「確かに!」

そんな話をしていたら有愛の番だ

有愛って足速いのかな?

モブ君の練習で精一杯だったからよく知らないんだよね

有愛が走り始める

「お、お!んー微妙!」

「容赦ないね⁉」

速くもないし遅くもない

でも…

「頑張ってるからヨシ!」

「それもそだね」


少しすると有愛が帰ってくる

そのまま私と成実の間に入ってくる

まぁ元々そこが有愛の席だから何とも思わないけど

「疲れだー」

「お疲れー!よーしよし」

「ちょっ!恥ずかしいわ」

応援テントでバテてる有愛の頭を撫でる

照れくさそうにしてるけど鋸歯はしないし続けちゃえ!

有愛が戻ってきた時には女子の200メートル走も終わりが近づいていた

つまりは篠原さんの出番だ

ラストで走るから緊張するだろう

って思ったけど大丈夫そう

遠目で見ても覚悟の決まった顔してる

「篠原さん、いい顔してるね!」

「ソウちゃんのあんな顔見たことないなー」

「ソウちゃん?成実って篠原さんと知り合いなの?」

「そっか

アカネっちは知らないんだね

私とソウちゃん、爽花そうかは中学同じなんよ

ついでにモブも」

それは初めて知った

中学の頃とか気にしたことなかったなー

…もしかすると『player』のヒロイン候補が中学時代の友達にいたりして

帰ったら調べないとね

「そろそろ走り出すよ

アキラが育てた子だから楽しみ

アカネもでしょ?」

「それはもちろん!」

「ソウちゃん!頑張れー!」

ピストルが鳴る

それと同時に篠原さんが走り出す

結果は歴然だった

「…ソウちゃん速くなったね」

「ぶっちぎりじゃない

あんなに遅かったのに

アキラやるわね!」

「凄く速くなったね!

もしかしたら有愛より速いんじゃない⁉」

「ちょっ…気にしてるから、それ」

実際、姿勢も綺麗だし呼吸も安定してる

あとは足の回転さえどうにかすればもっと速くなるだろう

それでもあのレーンでは一番速かった

そしてそのままの勢いでゴールする

「す…」

「うおおおおおおおおおおおおおおお!

やったな篠原ぁ!」

選手が待機してる場所から聞き覚えのある声がする

「…アキラうるさいわね」

「まあまあ、じゃーちゃん

あれは嬉しいって」

「それもそうね

…じゃーちゃんって私のこと?」

「うん

蛇腹だから、じゃーちゃん

嫌?」

「…別に嫌じゃないけど」

「あ、照れてんね」

「うるさいわね!」

「有愛は友達少ないからね!

あだ名なんてなかったんでしょ!」

「アカネは辛辣!」

そんな言い合いをしてると篠原さんが帰ってくる

「お!ソウちゃん、マジ速かったね

よく頑張った!」

「うん!ナーちゃんの応援届いたよ

ありがとうね」

「いいってことよ」

流石中学から友達なだけある

距離感がいいね

そんなことを思っていたら有愛も声をかける

「よくあんなに速くなったよね

素直にすごいと思う!

今度私にも走り方のコツ教えてね」

「うん、もちろん!

…でもアキラ君に直接教われば…」

「それはシャクなの!」

「そうなんだ」

そう言いながら小さく笑う

よし!私も声をかけよう

言いたいことは全部言われたけど何か声はかけた方がよさそう

「本当に頑張ったね!お疲れ様!」

「え…あ、はい

ありがとうございます」

…あれぇ?

私だけ距離を感じる

入学式の時より距離を感じる

私何かしたかな?

「ソウちゃんも師匠の走り一緒に見よ見よ」

「そうしよっかな」

そう言うと私から一番離れたところに座る

いや成実の隣がそこしか開いてなかったからね

「…なんかやったの?アカネ」

篠原さんに聞こえない声で有愛が聞いてくる

それに私は

「知らないよ!」

…大きな声で言えるわけもなく小さく叫んだ

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