第7話「リーフレットの街の生誕祭」

朝、ミリアが目を覚ますと、窓の外から賑やかな笑い声や太鼓の音が聞こえてきた。街全体が祝祭の雰囲気に包まれている。彼女は胸の高鳴りを抑えながら素早く着替え、宿を出た。

今日はリーフレット王国の生誕祭。各地から商人や貴族が集まり、市場は活気に満ちていた。ミリアが所属する「龍牙亭」も料理コンテストに参加する予定であり、準備に追われていた。

「ミリア、準備は整った?」

宿の主人が声をかける。ミリアは頷きながら、料理の仕上がりを確認した。

「うん、大丈夫! みんなの力で最高の料理を出そう!」

コンテストの会場に着くと、すでに多くの人々が詰めかけていた。料理人たちがそれぞれの自慢の料理を披露し、審査員たちは真剣な表情で味を確かめている。

やがて、龍牙亭の番が来た。ミリアたちが出すのは「特製ハーブステーキ」。肉の旨味を引き立てる秘伝のソースと、新鮮な野菜のハーモニーが特徴だ。

国王と審査員たちが料理を口に運ぶ。国王は目を細め、ゆっくりと噛みしめた。そして、静かに口を開く。

「これは……素晴らしい。肉の旨味が存分に引き出され、ハーブの香りが上品に広がる。とても丁寧に作られているな。」

審査員たちも次々と賞賛の言葉を述べる。結果発表のとき、龍牙亭は見事に優勝を果たした。歓声が沸き起こり、ミリアたちは喜び合う。

しかし、その直後、会場の機材トラブルが発生した。スピーカーが突然沈黙し、司会者が困惑した表情を浮かべる。

「どうしよう……音響が壊れたみたい。」

ミリアが周囲を見回していると、一人の女性がすっと前に出てきた。

「ふふ、面白そうね。私に任せて!」

その女性――フローラ第七皇女は、スタッフたちと手際よく対応し、短時間で機材の修復を完了させた。再び音響が復活し、会場から拍手が起こる。

そして、シークレットゲストとしてフローラ第七皇女が正式に登場。彼女は聴衆に向かって微笑みながら語りかけた。

「この素晴らしい祭りを、皆さんと一緒に祝えることを光栄に思います。これからもリーフレット王国を盛り上げていきましょう!」

その言葉に、会場はさらに盛り上がる。

その後、ミリアはついに国王や家族と再会する。王の視線が彼女を捉えた瞬間、胸の奥が熱くなる。

「……久しぶりだな、ミリア。」

国王の言葉に、ミリアは目を潤ませながら頷いた。

「はい、お父様。」

兄たちも温かく迎え入れてくれ、家族としての絆を再認識するひとときとなった。

最後に、王国の今後の問題にも少し触れられる。

「王国は今、いくつかの課題を抱えている。だが、この祭りのように皆が協力すれば、きっと乗り越えられるだろう。」

ミリアは決意を新たにし、この再会が新たな物語の始まりとなることを感じるのだった。

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