第32話

「いちょう祭の野外イベントのひとつ、ミスター板倉の選出をお願いします!」


ミスター板倉…

それは板倉学園で一番カッコイイ人を決定する、いわばイケメンコンテスト。


まず、6月にクラス代表を決める。

7月に学年代表(史学科1回生代表ってことね)を決め、10月に学科代表を決める。


学科代表に選ばれたら、11月のいちょう祭に出場!


あたしのいる、1回生史学Aクラスからも、誰か男子を出さなければならない。


「来週のこの時間に、投票用紙を配るから、誰に入れるか考えてきて。一番多かった人がクラス代表な」


相葉くんが説明した。

みんなザワザワしている。


「ねっ、誰に入れる?」


ばっしーが聞いてきた。


「う~ん」


あたしは答えを濁したが、ばっしーに読まれてしまった。


「しずくちゃんでしょ?」


「へっ?まだ考え中!ばっしーは決めてるん?」


「決めてないけどさぁ、このクラスでイケメンったらしずくちゃんじゃん?」


しずくちゃんはおしゃれだし、優しいし、イケメン。


クラス代表の可能性十分ある。


あたし、しずくちゃんに一票入れる気アリだよ。


このミスター板倉が、盛り上がるイベントか1回生はまだ知らなかった。

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