理不尽な始まり方

第1話 ランダム要素しかないゲーム

 俺の名前は可惜目あたらめ 帯敗たいはい

今年から高校2年生になる一般男子高校生だ。


 実はこれから最近人気のとあるVRMMOを買いに行くつもりだ。

そのタイトルは「ランダム・ダンジョンズ」。

MMOの基本的なこと以外はすべてランダムで采配される理不尽ゲーだ。


 ネットの評判では『チュートリアルがクリアできない』とか『最初の武器が強すぎて草www』とか『草に草をはやすな』とか『鉛の塊(打撃武器)ってなんだよ』とかいろいろ言われているけれど...というかこれ人気ってか悪い方の人気では?


 ま、まぁきっと大丈夫だろうと浅い考えで現在近くのゲームショップである

「天ぷら&かき揚げ&ゲーム」におじゃましている。

毎回来るたびに思うけど店名が頭おかしいと思う。


「いらっしゃいませー!天ぷらとかき揚げはいかがですかー!」

「いらないです。ゲームください」

「はーい。少々おまちくださーい」


 入店と同時に言われる言葉に適当に返しつつ、店内を見渡す。

先ほど店員が言っていた通り、天ぷらとかき揚げも買うことができるし、店内で食べることができるスペースもある。

 なお食べるスペースが3分の2を占めているのはいまだに納得していない。一応ゲームショップだよな?なぜかある口コミでも天ぷらがおいしいとかかき揚げがサクサクでうまいとかいろいろ言われている。

 実際ここの天ぷらとかき揚げはすごくおいしいし、たまに買って帰ることもある。


 そんなことを考えていると店員がタブレットを持ってやってきた。


「ご注文はお決まりですかー?」

「天ぷらとかき揚げはいらないです」

「それはさっき聞きましたー。今回はお求めのゲームです」

「えーと、じゃあランダム・ダンジョンズで」

「はいダムジョーが一点ですねーかしこまりましたー」

「いや略し方の癖...」

「すぐに用意するんでレジ近くでおまちください」

「はい」


 そんな会話をして店員は奥の方に引っ込んでいった。

ちなみにネットで言われている略し方はダムダムだ...どっちもどっちか。

 まぁそんなことは置いておいて、さっさとレジに移動してしまおう。


 レジに移動してすぐに店員が戻ってきた。

ダムダムの値段は5,910円だった。一時期は本当に高くなっていたけど最近ではこのくらいの値段に落ち着き始めている。

 まぁ代わりにゲーム機が高くなったけどね!なんだよ1台で4万超えってバカだろ。

まぁ1台買えばしばらくは後継機が出ないからそれでいいんだけどね。

 ちなみに大きさもそこそこ巨大化してきているが、まだ台車が必要なほど大きくはなっていない。


 まぁそんなことはどうでもよく、さっさと家に帰ってきたので、いろいろとこまごまとした準備をして、いざ!

 カセットを入れて電源を入れ、頭にかぶってベッドに横になって準備おーけー。

VR機を起動する方法は任意で音声認証や思考認証、設定した動きで起動するモーション認証の3つある。

 音声認証の場合も好きなセリフに設定できる。おれは思考認証にしている。

頭の片隅で『ゲームスタート』と考えるだけでVR機が起動して挿入されているゲームが起動する。


 そして今考えたのでゲームがはじまった。何やってんだか。

まぁ起動してしまったものは仕方がないので、おとなしく身を任せる。


 気が付くとそこは石のレンガで構成された牢屋のような場所だった...なぜ?

たしかにネットの書き込みで開始地点もランダムだと言われてたけど...牢屋スタートマ?


『お?気が付いたか』


 その声で牢屋の中にもう一人いることがわかった。とういか声かけられるまで全く気付かなかったんだけど。


『ん?まだ寝ぼけてるのか?』

「ああいや、大丈夫だ。それよりここは?」

『あん?見てわからないのか?牢屋だよ』

「あーやっぱり...」

『【レシズム王国】の地下牢の中でも重罪を犯した者だけが入れる【獄牢】だ』

「...なんて?」

『だぁかぁらぁ、【レシズム王国】の―』

「ああいやそこは大丈夫です。なぜ、その【獄牢】に」

『ん?自分がやったことも覚えてないのか?あんたは【レシズム王国】の第二王女のファレリア・Lレシズム・クオータム様を殺そうとしたんだろう?』

「んんん?」

『だぁかぁらぁ、【レシズム王国】の―』

「いやそれじゃなくて、というかさっきやったわその流れ!というかランダム要素が強いとは聞いたけどこれは理不尽だろおおおぉぉぉぉ!」

『うぉっ!急に大声出すなよ!まだ説明途中だろうが!』

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