第4話 視点:私

少し、その後の話をしようと思う。

私と彼は、あの日以来、一言も話していない。

今まで通り、私は教室の隅で静かに過ごし、彼は多くの友だちに囲まれて、いつもその真ん中にいた。

何かが、大きく変わったわけではない。

ただ、一つ挙げるならば、あのときの私の言葉は確実に彼に届いていて、その笑顔は、前よりも確かに灯るくなっていることだろうか。

彼の周囲を照らすような笑顔は、今まで以上に多くの人たちを惹きつけるようになった。


あの日。何も特別なことなんてなかった日。

きっと私は、彼の声も、顔も、いつかは忘れてしまうと思う。

何気ない日常の一コマなんて、覚えていることのほうが難しいから。

でも、彼の瞳に写った星灯だけは、鮮明に覚え続けるのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

セカイ 白波桜 @ShiranamiSakura77

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画