第23話
返事は届いた日に書いた。小旗くんは3通分だったけど、わたしはまとまらなさすぎて倍の6通にも渡ってしまった。きっと彼は届いた分厚い封筒を見て「わかってたよ」って顔で笑うんだろうなあ。チガウの、便箋の大きさがねわたしのほうが小さかったからなんだよ…!
高校に入学したとき。
ミーシャとウサコの赤ちゃんが産まれたとき。
卒業アルバムを作ってるとき。
成人式。中学の同窓会。
風邪をひいたとき。眠る前。朝起きたとき。「オハヨウ」のトーンを思い出したとき。
惹かれそうな人に出会っちゃったとき。
小旗くんが傍にいてくれたらよかったのにと、思うことが何度もあった。毎日思ってた。ふとした瞬間に頭に浮かぶきみの姿。きみの声。忘れないようにって思ってたのかもしれないってくらい、つどつど思い出していた。
これからもそうなんだろう。
あと5年。長いなあ。でも、悔いのないように、恥ずかしくないように、わたしも生きていくから。
着物姿は送らなかった。代わりに5年分のプリクラとか、同窓会の写真を入れておいた。
要望の着物写真を送らない真意は伝わってくれるだろう。大人になれたら見れる日がくるよ、なんてね。絶対なってね、大人に。
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