第4話
学校ではきっと絶対に見ることが出来ない高梨の笑顔。心。感情。ちょっと悪戯心がある子供っぽい一面。
それがたまらなくくすぐったくて、もったいなくて、ずっと見ていたいと思う。
本当に、こんなはずじゃなかった。
「その言い方やめろって。ハゲたみたいじゃねえかよ」
何回もそう言ってんだけど、これからもそう言われるんだろう。それでおれも飽きずにそう返す。
おれが楽しいと思うことで高梨も同じような反応をしてくれる。
「まあたしかに今はふわふわだけど、いつか絶対ハゲちゃうと思う。だって髪の毛、痛そうだもの」
金に近い茶髪に染めた頭を見てしかめっ面を浮かべている。
「高梨の髪は、健康だよな」
「痛めつける理由ないもの。あ、今日ボタン取られてなくなったの先生に怒られてたでしょ」
うわ、そうだった。おれは家から持ってきた紙袋から制服のブレザーを取り出す。
あいつら、取れかかってたからって勝手に切って「優クンからもらった!」とか言って…ありえないだろ…。
「貸して。よかった、持ってきてくれてて」
貸して、と言われ、差し出す前にすでに奪われていた。
だけどクラスメイトにボタンを取られた時みたいに嫌な気分にはならない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます