第29話 吹割の滝ダンジョン

 足場の悪い中ではあるが、ルナとまるがビッグフロッグを倒すことができたので、その反省もしつつ先へと進む。


 先ほどはまるが話も聞かずに飛び出して転倒したので、次はそういうことがないように言い聞かせておいた。


 その他にも無理な動きはしないことや、なるべく濡れているところは踏まないこと、相手はこの場所に慣れているのを忘れないことなどを確認しておいた。


 次に現れたのは、トカゲ型の侵略者アグレサーだった。名前はスパイクリザード。その名の通り、全身に硬そうな棘が生えており刺さったら痛そうだ。


「まる、こいつはかみつきやひっかきだと危なそうにゃ。魔法でやっつけるにゃ」


「オイラもそう言おうと思ってたところだわん! ルナの闇魔法で牽制してほしいわん。オイラがトドメを刺すわん!」


 おや? まるがしっかりと作戦を考えているだと!? すぐにストーンニードルでも使うのかと思ったら、違った。ルナも口をあんぐり開けて固まっている。わかるよ、その気持ち。


「ふん、まるにしてはいいこと言うにゃ。それじゃあ、私が目を眩ませるからトドメは頼むにゃ。ダークミストだにゃ!」


 ルナが魔法を唱えると、スパイクリザードの周囲が暗くなった。本来は状態異常付与の魔法だが、まだそこまで習熟度が上がっていないので視界を遮ることしかできない。


「後は任せるわん! ストーンニードルだわん! あれ? トカゲはどこいったわん?」


 ルナに続きまるも魔法を放ったのだが、どうやらちょっと目を離した隙に暗闇になってしまったようで、スパイクリザードを見失ってしまっていた。


 ブシュ!


 まるの放ったストーンニードルは、闇の中でスパイクリザードに当たったようだがどこに当たったのかがわからない。


 ギィェェェェェ


 闇の中から勢いよく飛び出してきたスパイクリザード。尻尾が切れているが元気いっぱいのようだ。


「まる! トカゲは尻尾を切っても意味ないにゃ!」


「オイラのせいじゃないわん! ルナが真っ暗にしたからだわん!」


 いやいや、まるが立てた作戦じゃないか!? 暗くなるときに目を離したまるが悪い!


「にゃぁぁぁ! あんたがそれを言うにゃ!」


 あ、ルナがキレた。そりゃ、あんなこと言われたらキレるよね……


「ぎゃー、痛いわん。硬いわん」


 突進してきたスパイクリザードに噛みついたまるは、その硬さにやられて泣き言を言い始めた。


「だーかーらー、魔法で戦うにゃ! ダークアローにゃ!」


 見かねたルナがダークアローで援護する。だが、格上相手には効きが悪い。せいぜい、スパイクリザードの足を止めるのが精一杯だった。


「助かったわん! ストーンニードルだわん!」


 とはいえ、まるの援護には十分だったわけで、今度こそストーニードルが首筋に突き刺さり一撃で倒すことができた。


 ちょっと危ないところはあったけど、彼らも少しずつ成長しているようだ。ギャーギャーケンカしながら前を行くまるとルナを見ながら、ちょっと頼もしくなってきたなと感心するのであった。


 それから、時折現れる侵略者アグレサーを倒しながら先へと進んでいった。戦闘経験を積む度に、まるとルナの連携はよくなっていく。今なんか、強力な両手のハサミを振り回し、水魔法を使ってくるカニ型の侵略者アグレサー、ウォータークラブを二人の連携で倒しきった。


 おかげでまるのレベルは18にルナのレベルは17へと上がった。ついでに僕のレベルも上がって今は12だ。ごちそうさまです。


 そんな調子で丸一日進んでみたけど、まだまだ先は長そうなのでいったんこの辺りで休憩を取ることにした。まだサハギンが現れていないところをみると、半分に到達したかどうかってところか。


 僕はすぐ行き止まりになった横穴に土魔法でドーム型のかまくらを作り、中で休むことにした。さらに通路を塞ぐように壁を作り、そこが行き止まりのように見せる工夫も忘れない。


「べたべたして気持ち悪いわん……」


「確かに嫌な感じにゃ……」


 かまくらに入って早々、まるとルナは文句を言いながら毛繕いを始めた。僕は昆虫だからあまり感じないけど、確かにもふもふの二人にとってこの湿度はつらそうだ。


〈よし、それじゃあお風呂を作ろう! それに風魔法を使ってかまくらの中が快適になるようにしておくよ!〉


 つらそうな二人の様子を見て、僕は土魔法でバスタブを作り、そこに水魔法で水を入れて火魔法で温めた。


「お風呂は嫌いだわん……」

「私は入らせて貰うにゃ!」


 おっと、ルナはお風呂好きだったようだがまるはそうではなかったらしい。嫌そうにバスタブから離れる。


「これでもくらえにゃ!」


 そんなまるにお湯をかけるルナ。


「やめるわん! 気持ち悪いわん」 


 頭からお湯を被り、毛がぺたんとなってしまったまる。やせっぽっちのキツネみたいだ。


 ブルブルブル!


 全身を震わせて水気を飛ばすまる。こら、こっちにまで水が飛んできたぞ!


 結果的には二人ともびしょ濡れになったので、バスタブを壊し風を巡回させ湿気を飛ばしてあげた。


「さすがミストだわん! どこからのおてんばとは違うわん!」


「なんていったにゃ? また水をかけられたいのかにゃ?」


 風魔法のおかげですっかり身体が乾いたまるとルナ。先ほどまでのぴったりくっついた毛並みが嘘のようにふわふわになっている。


 それから僕らは食事を取って、少し休憩することにした。まるとルナは

ドームの中で、僕はドームの天井にとまって休むのであった。

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