第14話 夢の国の廃墟③
〈ルナ、まる、ここからは二人で倒して貰おうかな〉
「えっ? 無理だわん!? ここの敵はオイラの爪も牙も効かないわん!?」
「それは……もしかして、この機会に魔法を使えるようになれということなのかにゃ?」
さすがルナ。僕の意図をすぐに理解してくれたようだ。だけど、理解することとできるようになることはまた別だ。まるはもちろん、ルナも不安そうにしている。
〈大丈夫! 危なくなったら僕がサポートするからやってみて!〉
僕の一言で安心したのか、まるもルナもやる気を出してくれたようだ。
〈右隣の部屋には
「任せるわん!」
「はい、いきますにゃ!」
僕の探知の情報を元に、まるが左隣の部屋に突入する。
〈あっ、そっちは!?〉
「まる! 右ですにゃ!」
慌ててまるを追いかけるルナ。その後を低空飛行で追いかける僕。まったく、まるは調子に乗ると周りが見えなくなるんだから。
「ぎゃー!? 五体じゃないわん!? 十体以上いるわん!?」
左の部屋に入った途端に叫び声を上げるまる。そりゃそうだ。だから右からって言ったのに。
すぐに急ブレーキをかけて、回れ右をするまる。そこに突っ込む形となったルナ。
「にゃ!? 急に止まるにゃ!」
危なくぶつかりそうになったところで、ジャンプ一番躱すルナ。しかし、着地したときには十体以上のぬいぐるみに囲まれてしまっていた。
「くっ、魔法を使わにゃいと」
絶体絶命のピンチにルナは魔法を使おうと試みるが上手くいかない。このままじゃ、ルナがやられてしまう。そう思って、魔法の準備をしようと思ったその時――
「ルナをいじめるなだわん! ストーンショット!」
まるの大声とともに浮かび上がる多数の石つぶて。それらが勢いよくぬいぐるみへと向かっていく。
ドシュドシュ
魔力のこもった石の弾丸がぬいぐるみ達を穴だらけにした。憑依していたレイスごと。
「えっ? 何が? もしかして、まるが魔法を使ったにゃ!?」
驚いた。まるが土魔法を使った。ピンチになって潜在能力が覚醒したのか!?
「わん! オイラ、魔法を使えたわん! あっ、でもなんだか力が抜けていくわん……」
覚醒したまるは一度にたくさんの魔力を消費したせいか、魔力切れでうずくまってしまった。もともと、それほど魔力は多くなかったからね。
「まるが、まるが先に魔法を……許せないにゃん! ダークアロー!」
まるの魔法に触発されたのか、期待の入った言葉とともにルナの目の前に漆黒の闇が現れた。
「いくにゃ!」
三本の矢が残ったぬいぐるみに襲いかかる。おっと、魔力の矢が逃げ回るぬいぐるみを追いかけている。どうやらルナはダークアローを自在に操ることができるようだ。これはすごい才能だ。もちろん、僕もできるけど。
二人が魔法を使ったおかげで、何とかこの部屋を制圧することができた。
「オイラのおかげだわん! 感謝するわん!」
ルナのピンチを魔法で救ってみせたと思っているまるは、うずくまりながらもドヤ顔を披露する。
「元はといえば、あんたが右と左を間違えたせいにゃん! まずはあんたが謝るべきにゃん!」
しかし、ルナの言う通りこうなった原因はまるにある。ルナに怒られたまるはしぶしぶ謝罪の言葉を口にした。
〈それにしても、二人が魔法を使えるようになってよかった。もっと時間がかかると思ったけど、予想より早かったね。二人とも魔法の才能があったみたいだ〉
「オイラの隠れていた才能が目を覚ましたわん! 魔法の申し子だわん!」
「ミストさんの教え方が上手だったおかげです。魔力を肌で感じることができたからだと思いますにゃ」
ふふふ、ルナにそう思って貰えると嬉しいな。だけど、まるの前向きな姿勢も嫌いじゃないよ。ルナにまた叩かれてるけど。
〈それじゃあ、魔力切れに気をつけつつ他の部屋の
僕の励ましに二人は嬉しそうに頷いている。こういうときは仲良しに見えるんだけどね。
まるとルナは魔力が回復するのに時間がかかるようだったので、二人が魔力切れの時は僕が退治し、魔力が回復したときは二人に任せた。そんな感じで戦うこと数時間、ついに僕たちは上の階へと上る階段を見つけた。
〈大分時間も経ったし、疲れも溜まってきてるみたいだから階段の途中で休むことにしよう。念のため、僕が見張っておくから二人はご飯を食べたらゆっくり休むといいよ〉
「ありがとだわん! これ食べたらすぐに寝るわん!」
「そんな! わたしも見張りをしますにゃ!」
「お、おいらも見張りをするわん……」
〈いやいや、みんなで見張りをしていたら休憩の意味がないからね。今は僕が見張りをするから、二人は休んでて。僕が疲れたときにはどちらかに見張りをお願いするからさ〉
僕の説得にまるは簡単にルナはしぶしぶ従ってくれた。ただ、その割にはご飯を食べたら二人ともすぐに寝入ってしまった。やっぱり疲れてたんだね。いくらレベルが上がったとしても、これだけ戦い続けて慣れない魔法を使ってればこうなるのも当たり前だ。
それにしても、黒猫と柴犬の寝顔のかわいいこと。自分も猫だったことはあるけど、寝顔は見れなかったからね。ペットを飼う人の気持ちが今ならわかる気がする。
かわいい黒猫と柴犬が寝ている横で、大きめのトンボが目をくりくり動かしながら二匹を見つめている。
(これ、傍から見たらどう思われるんだろう)
そんなことをふと考えつつ、魔物がこないか見張りを続けるのだった。
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