修羅場
「ユーリヒ、本当にごめん…」
俺が玄関のドアを開けるなり、リーシアは深々と頭を下げた。
大好きだった元恋人からの謝罪に思わず戦慄してしまう。
レイシア様は、俺に課した究極の二択の答えを聞くのに心の準備がいるらしく、リビングから隠れて俺たちのことを見守っていた。
「どうしてここがわかったんだ?」
「…聖騎士ホレウィン様のことを半殺しにしたシスター様の顔を知っていたから、教会に住所を聞いたの。ユーリヒが帰って来ないって事は2人ともレイシア様の家にいるんじゃないかって思ってさ」
「そうか」
レイシア様は街の催しや教会の儀式に顔を出すことが多いので、あまりキラスト教に熱心ではないリーシアでも知っていたのだろう。
「あの…ね。私もホレウィン様も凄く反省してるの。異端だったと思うし、本当に申し訳ないと思ってるわ」
「ああ、俺もごめん。リーシアの同情心を利用して関係を始めた節があったと思う。だから君が他の男に目移りするのも仕方ないよ」
きっと、街に来たばかりの俺は自分の弱者性を盾にして、様々な事に甘えていたのだ。
故に紛い物の関係は容易く形骸化してしまったのだろう。
「私が悪いんだよ!…ユーリヒよりあの方を愛してしまった私が悪いの……」
リーシアはまるで悲劇に出てきそうな儚げな乙女の顔をし、俯きがちにこちらを見つめてきた。
彼女の瞳は潤み、小動物のように華奢な身体は震えている。
「まぁ、なんだ。…お互いに免罪符を買っておわ…」
俺が2人の関係の清算方法を告げようとしたその刹那、リーシアが間髪入れずにつぶやいた。
「でも、ホレウィン様を悪魔の力で傷つけたレイシア様とそれを看過したユーリヒも異端だよねぇ?」
リーシアは驚くほど冷酷な微笑みを浮かべながら、こちらを見つめてくる。
まさに悪魔崇拝を連想させる、その異常な気迫に思わず固唾を飲んだ。
「な、何を言って、、」
「あの女が使った銃と呼ばれる武器は東方の異教徒が発明した物らしいの。そんな物で神に仕える聖騎士様を脅かすなんて……悪魔に違いないわ!きゃー」
リーシアはわざとらしく甲高い悲鳴をあげた。
その姦しさと独占欲に塗れた病的な声は俺達への悪意で溢れている。
「お前、、、」
「…免罪符を買って教会に許してもらっても、ホレウィン様の名誉は回復しないわ。けど、キラスト教を異教徒の武器で攻撃する
「そんなことしたら、、、!」
「宗教ばっかで構ってくれなかったユーリヒと小生意気な宗教女が全部悪いのよ!だから…ね。私とだいちゅきなホレウィン様の為に死んで?」
「お前えええええええええ」
くすくすと趣味の悪い嘲笑をしているリーシアの顔面に向かって、俺は思いっ切り聖書を投げつけたのだった。
あと、数話で完結する予定なので、★欲しいです
何卒★をお恵みください....
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