再び、見るべし
- ★★★ Excellent!!!
同じ三国志好きとして、この挑戦は
「あまりに大きい」
と、感じるものである。
例えば、私は「三国志」と表題される小説について
吉川英治氏
北方謙三氏
宮城谷正光氏
といった文豪たちの文章を拝読してきたが、書く動機というものは三者三様だった。
しかし、この三者がともに、大きな影響を受けていることも、知っている。
例えば、吉川英治氏は
「湖南文山の通俗三国志を子供の頃から聞かされていた」
という、子供のころからの「憧憬」と、「作家としての源流」を語っていた。
例えば、北方謙三氏は
「最初は、押し付けられた仕事だった」
と言いながら、のちの「歴史小説家、北方謙三」の端緒ともなった。
例えば、宮城谷正光氏は
「最大のライバルは”三国志演義”である」
と、中国歴史小説家の大家らしい、「深い敬仰」があった。
「三国志」は、そういう物語である。
古今東西の人の心を、ずっと揺り動かしてきた歴史がある。
私もいつか、「三国志」を書きたいと思いながら、しかしそれが意味する所の深刻さというものを畏れている。
文章力も、知識も、思想も、そして憧憬も、圧倒的に足りない。
この作者は、愛情から、書き始めたのである。
それが、どれほどのものだったのか、私には想像しえないような気もする。
ひとつ言うならば、この小説は「正史三国志」そのものというより、「三国志演義」に正史の要素を付け加え、現代の価値観をもってブラッシュアップしたものといえる。
私が「三国志」を書いたら、別物になるだろうと確信もしている。
だが、この雄大果敢な挑戦を表明した「江口たくや」氏に、精一杯の
「がんばれ」
という言葉を贈りたい。
世間一般には禁句だそうだが、純粋な気持ちとして、そう言わざるを得ない。