転生した錬金術師~伝説の錬金術師は異世界でも可愛いを探求する~
和ふー
第1話 エピローグ
少女齋藤蒼唯は、作業部屋でいつもの通り可愛いもの造りに没頭していた。
「えーと『時空龍王』の逆鱗と『神時計』の長針に『メタモルフォーゼ』を組み合わせてです」
危険な素材を扱うため作業部屋のドアには入室禁止のプレートを掛けていた筈であった。
しかしその日はうっかりドアプレートを掛け忘れていた。
「ぬいぬい!」
「まくま~」
「あ、待てで」
そのため一番危険な作業をしているタイミングで、彼女が造り出した『ぬいぐるみ』が突撃してくる。
先に入室した犬型『ぬいぐるみ』のぬいが、作業中の蒼唯に気が付き止まろうとするが、後から入ってきた猫型『ぬいぐるみ』のまっくよは、それに気付くのが遅れ衝突。2匹が絡まりながら蒼唯に激突してしまう。
「あ、まず…です!」
錬成失敗を予感した蒼唯は、錬成物を放棄して咄嗟に自身とぬいたちに向けて錬金術師を展開する。
そしてそのため直後凄まじい爆音と共に、とんでもない衝撃が蒼唯たちを襲うのであった。
爆音を聞いて異常に気が付いた齋藤家もう1人の住人が慌てた様子で作業部屋に入る。
【蒼唯様? ぬいさま! まっくよ様? 大丈夫ですか! いない?】
しかし作業部屋は爆音が響いたとは思えない程何の異常も見られなかった。先程までいた筈の蒼唯たちがいないことを除けば。
――――――――――――――――
「おい! おい! 大丈夫か!? 魔獣が闊歩するこの森で倒れてるなんて! どこかの村から口減らしでもされたのか?」
蒼唯の意識は、慌てた様子の男の声により覚醒した。
「う、いててです」
「あ、意識が戻った! 良かった」
目を覚ました蒼唯を見て心底安心した様子の男は、鞄から水と食べ物を取り出し蒼唯に差し出してくれる。
話を聞くに蒼唯は道端に倒れていたようで、そんな蒼唯を男は介抱してくれていたのだった。見た目に反して優しい男である。
「それにしてもこんな森の中で倒れているなんて、しかもこんな幼い子が、やっぱり口減…いや」
ただ何故か蒼唯を可哀想なモノを見る目で見てくるのだけが引っ掛かった。
「幼いって、お兄さんから見れば私は幼いかもしれませんが、これでも高3、18歳ですよ」
「はぁ? 18? 馬鹿言うな嬢ちゃん! どう見ても10歳も云ってない見た目で! その見た目で18なのは長命種くらいなもんだ」
「そこまで言われる程ちんちくりんじゃ…です!?」
そこで蒼唯は自身の身体の違和感に気が付く。衝撃に襲われ、急に森の中で男に介抱されるという異常事態でまったく周りが見えていなかったが、よくよく観察してみれば、自身の手足が幼いのが分かる。
「えーと、ちょっと待つです」
そこからの蒼唯は早かった。地面に転がる石を錬金術を用いて即席の鏡に仕立て上げた。
「な、嬢ちゃん、魔法、いや錬金術か?しかも何だあの速度、それに精度も」
その見事な手腕に感嘆する男を放って置いて、蒼唯は作った石鏡に自分を写す。すると見知らぬ顔がそこには写されていた。
「誰ですこれ?」
☆☆☆☆☆
齋藤蒼唯
可愛いモノ造りが大好きな錬金術師。ダンジョンが出現した現代世界では伝説の錬金術師と名高いが、本人はそんなことよりも可愛いモノ造りに勤しんでいた。
ぬい
犬型『ぬいぐるみ』可愛い
まっくよ
猫型『ぬいぐるみ』可愛い
この小説は
錬金術師のハンドメイド~フリマやってるだけなのに伝説的な扱いされてました~
https://kakuyomu.jp/works/16817330660500122040
の続編となります。
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