急ぎすぎたカレンダー

第6話

のどが乾いて、廊下の自販機で紅茶を買う。


長椅子に座って紙コップを傾けながら、ふと見上げたナースステーション。

カレンダーはまだ5月のまま。そういえば、私のベッドの傍の卓上カレンダーはもう6月だったけ…



部屋に戻って、フライイングしたカレンダーを指で突いてみた。


そういえば、今日メールした知人には「入院して一週間」なんて書いちゃった。病院(ココ)では時間がゆっくり流れる。でもコノカレンダーはチョットせっかち。



「そんなに慌てるなんて…待ち遠しい約束でもあったの?」



一人きりの部屋のなか、何気なく呟いて、自分の声に笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る