第9話

【月だけでは…】



誰にも会いたくない

誰にも話しかけられたくない

誰とも話したくない



1人になりたい

何処かへ行ってしまいたい

消えてなくなりたい



明日になるのが怖い



このまま月がとどまればいいのに

月が沈まなければいいのに



逃げればいいのかも

逃げられればいいのかも



逃げる場所も

逃げ込む場所も

何もないけど



こうして

月だけ見上げて

静かに生きていければ

いいのに…



友達なんかいないのに

仲間なんかもいないのに



何故こんなふうに思うのか



わからない



誰にも干渉されず

静かに暮らしていきたい



自分のためにだけ

時間を使って

自分のためにだけ

お金を使って



誰にも邪魔されず

生きていければ

いいのに…



フッと…

疲れてしまう…

他愛もない日常に…



月だけがいれば…

そばにいるのが

冷たく蒼く哀しい月だけなら



どんなにか

いいだろうか…



蒼くて

哀しく

冷たい

月夜には



少し我儘な私が

顔を出す



だからいつも

こんな風に考える



月は

太陽がいないと…



生きていけないのよ



月だけでは



哀しすぎて



生きていけないから



太陽はいつも

月を想って



出てくるのよ



例え永遠に

寄り添えなくても



月が哀しまないように



太陽は眩しく微笑んで

出てくるのよ



だから私も

明日太陽が出てきたら



大丈夫

月は蒼く美しかったわ



そう伝えてあけるの



きっと



「良かった」



と眩しく微笑むだろうから

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