すみません、死にたい死にたい男なのですが

青山喜太

第1話 恋と死にたい

 死にたいって何だよって思う。

 よく私の頭の隅にゴポゴポと温泉のように湧いていくるそんな願望に対して私は疑問を投げかけている。


 さて、まずこのエッセイもどきをタップなりクリックなりして読んでくれたアナタ。


 まずは安心してほしい、これは怖いエッセイではない。

 作者は直近で自殺の予定などないし、死ぬような病気に罹ってはいない。


 双極性障害と精神障害者手帳3級を持ちA型事業所に通っているぐらいの一般的な人間である。


 がっかりさせてしまったかもしれない。

 自分でも結構な怖いタイトルをつけてしまったと思っていて、それ故にタイトルに見合うだけの波瀾万丈なエッセイを期待していた方には本当に申し訳なく思う。


 このエッセイはただ自分が死にたいと思ったことをただ書き連ねるだけの普通の日記のようなものなのだ。


 だからこれから語ることに関して、つまらなくても容赦してほしい。


 はい、では予防線も張ったところで話していく。


 私は恋愛のことを考えると死にたくなる。


 なんで? と言われると長くなるがどうか聞いてほしい。


 まず私には恋愛する権利というものを有していない。

 どういうこと? とまた言葉が聞こえてくるようだから、説明しよう。


 私は生まれてこの方、人に迷惑をかけて生きてきた。

 それはもう人には言えないような恥ずべきことを。言っておくが犯罪ではない


 誰しもある例えば、あの時調子に乗ってたな、とか、生意気だったかもというようなイタイ過去というやつだ。


 まあ、そんなこんなでよくいじめられていたものだ。

 特に小中の頃は酷かった。


 詳細に話したいところだが思い出すとまた死にたくなるので次の機会でお願いします。


 とにかく私はいじめられていたのだ、プライドが高く、母親に大人な自分を演出したかったのだろう。それが悪かった。


 とりあえず私は不登校になった。中学2年生の夏休み明け私は学校に行けなくなってしまった。


 今までイジメにも我慢していたがついに耐えられなくなったのだと思う。


 人が信じられなくなり、何もかもうまくいかなかった。

 高校では周りの顔色を伺い、大学は休学を得て卒業。


 いつの間にか私の心は鬱病、手には手帳を携えていた。


 所謂、私は落伍者というやつなのだろう。


 さて、本題に戻ろう。

 なぜ私が恋愛の権利がないのか?


 それは力がないからだ、金がないからだ、ヒエラルキーが低いからだ、心が弱いからだ、悲しみから立ち直れていないからだ、今でも起きるフラッシュバックに打ちのめされるからだ、死にたいからだ。


 理由を列挙してみたが、もう少し頑張ればたくさん出てくるだろう。


 恋愛をするには私は権利と資格がないように感じるのだ。


 だってそうだろう。

 私には誰かを幸せにできるような力はない。

 自分のことが手一杯なのにどうして私は誰かを幸せにできるわけがない。


 私には金がない。

 これではたとえ恋人ができたとしても迷惑をかけてしまう。相手の望むプレゼントも買ってやれないだろう。


 私はヒエラルキーが低い。

 私は最底辺の人間だ、誰かに自慢できるような人間ではない。恋人に恥をかかせてしまうだろう。


 私は心が弱い。

 私はいつも自分に負けている。いつも悲しみに暮れ、それで1日を無駄にする。果たしてそんな人間といて恋人は楽しいだろうか。


 私は悲しみから立ち直れていない。

 もう昔のことだというのに、いまだに悲しむことがやめられない。いまだに自分を責めずにはいられない。

 これでは恋人にも愛想を尽かされるだろう。


 私はフラッシュバックに打ちのめされる。

 まるで突然、火と酸素が交わるよう激しく過去の失敗が脳に浮かび上がってくる。

 私は今に生きていない。

 恋人ができたとしても私は今に生きられない。


 理由を列挙してみたが、とりあえず、そうだな、結論付けるとするならば私は誰かに愛されるような人間ではないのだ。


 それをとても自覚している。

 でもここが私のしょうもないところなのだが、一丁前に誰かに愛されたいなどと思ってしまう。


 おいおいおい、と席を立ち上がったアナタ落ち着いてほしい。

 わかっている自分が誰かを恋して愛することなど分不相応だ。


 だから私のような人間が人肌恋しい、誰かに愛されたいなどというと誰もが気持ち悪いというに違いないのだ。


 わかっている全てわかっている理解している。

 だが私も人間を辞められないらしい。

 今でも私は初恋の人のことを時々思い出す。


 そして、あり得ない想像をするのだ。


 結婚して家庭を作って、子供は幼稚園に通わせて──。


 そんなあり得ない想像だ。


 人を愛したいと思う。そんな資格はないと私は思う。


 私は異常者なのだ。

 異常者のくせに死にたいというだけで、今も生きている。


 どうせこの先、誰にも私は愛されない。

 冗談じゃなくそんな呟きが心の中で溢れる。


 なんで私は生きているのだろうか。

 今も私は死にたいと言いながら生きている。どっちなんだよと自分でも思うが、自分でもよくわからない。


 まあ、痛いのは嫌だし……。

 多分そんな感じで死んでいないのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

すみません、死にたい死にたい男なのですが 青山喜太 @kakuuu67191718898

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ