第6話

色白で身長がそこそこあってセクシーな唇?そのおかげで周りからはかっこいいと言われていた。


そしてそれに加えて、極度の人見知りが功を奏してクールと、高評価を得ていた。



でも、中学の頃付き合った女子に振られた時の言葉。


「ともってさ、見た目とのギャップ、激しすぎ」



だから俺はそんな俺を認めてくれる山本を好きになったんだけど、山本は広い心で俺を受け止めただけで実際は別に好きとかじゃないのかな。



確かに保健室に来てくれた時、俺のことすげー詳しくて、しかもすげー照れてて、で、あれ以来すげー仲良くなったけど。



……仲良くなったつもりでいたけど。


でもよく考えれば山本にとっての俺って、親友の彼氏の友達。仲良くせざるを得ない関係。


現に野上と横溝が付き合う前は一緒にカラオケとか行っても殆ど会話なかったし。




俺が黙っていると山本がはぁ、とため息をつく。

そして、泣きそうな顔で聞いてくる。



「私、何かしたかな?」



俺の心臓がまた鳴りはじめた。

山本は別に何もしてないから。


だけど、素直にそうも言えなくて。



「……竹沢と仲良いな」



ほら、また嫌みったらしくなる。



「……は?」



だけど俺は今のお前の泣きそうな顔を見て、一つ確信したぞ。



「お前が好きなのは俺なんじゃねーのかよ」



やっぱり、お前は。



「俺のこと好きなんじゃねーのかよ」



だって、好きじゃない奴にシカトされて泣いたりはしないだろ。



「……すっごい自信」



山本が目を擦って笑った。



「伊達こそ私のこと好きなんでしょ?」



赤くなる俺を見て山本が笑った。



「しかも竹沢、彼女いるし」


「えっ……?!」


なんか余計に恥ずかしくなってきた時。


「……あ、流星」


遠方に流星を見つけ俺は慌てて立ち上がった。


「お前、おせーよ!何サボってんだよ!」


恥ずかしさを堪えるために、ついつい声がデカくなる。


「あ、あぁ……。ごめん」


流星が謝りながら時計を見る。


「あっ!っつーか俺、もう行く時間だ!」


席に着くことなく走り出す。



野上がため息をつきながら俺のことを見た。


「……あれ、お前顔真っ赤だぞ?何かあったのか?」


「何もねーよ!早くナデシコ決定戦行けよ!」


「一緒に行くんじゃねーのかよ?」


「……行くよ!だから、もー……」



山本をチラッと見ると大笑いしていた。



「良いよ、行ってきて。次の人すぐに来るだろうし」


「あ、あぁ……」




これでようやく一点、決まったよ。







2010.03.19

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