苺は段々、赤くなる
第40話
地獄の様な夏が幕を閉じようとしていた。
夏休みの間はほとんど、家と塾の往復。
ゆきくんにたまーに教えてもらう程度。
弥生ちゃんは結婚の準備で家には来なかったし。
一番辛かったのはギャラスタのライブに行けなかったこと。
この夏、ギャラスタは本当に沢山、活動してたんだよ。
……まぁ、それもあってゆきくんに教えてもらうのも難しかったんだけどね。
教えてって言っても部活なんだ、って。
そのやり取りが何回あったことか……。
でも、それも私の試練。
“それを乗り越えた先には必ず光がみえるはず。”
……By塾長。
あ、ヤバいな、私。だいぶ壊れてきてる?
でも、聞いてよ!
六月の模試では20%未満だった合格率が今では50%以上!
多分、クラスで一番私が成長しただろうな!
「蘭、たまには息抜きも必要だぞ?」
明日から新学期。そんな時に玄兄に言われた。
「今年も秀の文化祭、行かないか?
幸也と回れるように頼んどいたから」
「えっ?!
ゆきくん、一緒にまわってくれるの?!」
私って、本当、ブラコン!
「行くっ!」
スズちゃんや詩織ちゃんにも会いたいし、何よりギャラスタの演奏が聞きたいっ!
「ねっ、秀!イケメン決定戦、出るの?」
「あぁ、今年は優勝目指すからな。まじで」
……お前の優勝はどーでも良いよ。
「あ、今年は本宮もナデシコ決定戦出るぞ」
「詩織ちゃんが?!」
「坂本とかが署名してたな」
それはもう、絶対に行かなきゃ!
「あと、俺さ。かなえと別れたから」
……え?
「なんで?あんなにラブラブだったのに」
秀の顔は少し、寂しそうだったけど。
「男女には色々あるんだよ」
スッキリしてる感じだった。
「……分かった」
「おぅ、とりあえず、それだけ言っとく」
つっかかってこない秀が何だか大人っぽくて少し、変わったな。そう思った。
「フクはB組。坂本と本宮は俺と同じD組。梶はE組」
「知ってますー。調査済みですー」
私はそう言って部屋に戻った。
「もしもし、スズちゃん?」
「蘭ちゃん!久しぶりだね!
蘭ちゃんがライブに来なくて皆、寂しがってたよー」
久々に聞くスズちゃんの声はやっぱり、落ち着く。
「私、文化祭行く!」
「ホントにっ?!
今回ね、フクちゃんが作詞作曲した曲もやるよ!」
スズちゃんとは連絡取ってなかったけど先輩とはどうなってるんだ?
「スズちゃんさーあー……。流星先輩とはどうなの?」
「えっ?!どうって……、順調!」
……いいなぁー。
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