第13話
放課後クラスで晴海と話していたら私の教室に愛子先輩が来た。
「蘭ちゃん、いますか?」
「はい、います」
私は返事をして愛子先輩のところへ行った。
「……蘭、とうとうだよ」
晴海が小さい声で言ってくる。
「言わなかったけどさ。
先輩、いっつも蘭のこと見てたよ。怖い顔して」
あぁ、この前、晴海が言いかけてたのはそーゆーことか。
「大丈夫だよ、多分」
私は晴海に笑いかけて愛子先輩のもとへ向かう。
「ごめんね、突然」
愛子先輩の綺麗な長髪が風に揺れた。
「私、幸也に振られたの知ってるよね?」
恐る恐る頷いた私に優しく笑いかけてくれた。
「大丈夫だよ、私は別に蘭ちゃんを恨むなんてしないから」
愛子先輩が窓から遠くを見つめる。
「……私、蘭ちゃんのお兄ちゃんが好きだったんだよね」
「えっ?!秀のことが?!」
「そう。でも米倉って冷たいし、なんていうか、私いつも落ち込んで。
とゆうか……もう、諦めちゃって。
でね、いつも一緒にいた幸也にだんだん、惹かれていったんだよ」
愛子先輩は綺麗な人だ。それに、優しい。
「幸也の優しさに惚れて、春休みに好きって言って付き合ったんだ」
だけど、ダメ。
「でも、振られちゃった」
「そりゃ、そうですよ。
先輩はまだ秀が好きなんですから」
「……え?」
「もし、ゆきくんが好きなら私に優しくできないはずです。
だって、私、邪魔者ですもん」
愛子先輩は全然、ゆきくんのこと分かってない。
「傷付いた時に優しくされて、ゆきくんに甘えただけです」
私がそう言うと愛子先輩は笑った。
「……ほんと、そのとおりだよ。
この前の運動会、私はいつも米倉ばっかり見てた」
そして、私に紙を渡してきた。
「でも蘭ちゃんは幸也ばっかり見てたね」
中を見ると先輩のアドレス。
「良かったら、メールして。
幸也とのこと応援する。
あ、別に蘭ちゃんを通して米倉と、とかは思ってないから。
蘭ちゃんと純粋に仲良くしたいの。
……ダメかな?」
「ありがとうございますっ!」
ねぇ晴海、やっぱり先輩は綺麗で優しくて、さすが、ゆきくんの元カノです。
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