お砂糖のうた

卵白

お砂糖のうた

 夢みたいね


 小さく動かした指先

 ゆるゆる絡めた 絹の髪

 ラベンダー色のためいき

 こぼれてまつ毛は湿される


 バターキャンディを舐めるみたいに

 あなたの瞳はゆめうつつ

 大丈夫と頬を包み

 目じりにそっと口づける


 桜貝の指先に

 腹から吐いた金平糖

 千枚かさねたごめんなさい

 フォークを突き立て口のなか


 ゼラチン越しの春の日に

 指のほそさを知らされた


 金をちらしたその笑みに

 心はすっかりすくわれた


 この両腕にたからもの


 花束かかえて走りくるあなたに

 お砂糖の降るような祝福を

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お砂糖のうた 卵白 @rampaku_oishii

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ