第三話 「禁断の子供たち」

第三話「禁断の子供たち」


序章:消えた母親


ある夜、イーグルたちの元に一人の少年が助けを求めて駆け込んできた。


「お願いです!僕の母さんを探してください!」


少年の名前はルーク。彼の母親・エミリアは、数日前に突然姿を消したという。警察に相談しても「単なる家出」としてまともに取り合ってくれなかった。


しかし、ルークは母親が行方不明になる直前、不審な電話を受けていたことを思い出す。


「『お前の研究は危険すぎる』って、誰かに怒鳴られていたんです…」


「研究?」


チェンが聞くと、ルークはうなずいた。


「母さんは、医療研究をしていました。遺伝子の…なんとかって」


「遺伝子…?」


カールがすぐに調べを開始し、ある事実を突き止めた。


「エミリア・クロフォード。元・生物工学の研究者で、極秘プロジェクトに関与していたらしい。だが、数年前に突然研究を辞めて、息子と二人で暮らしていた」


「極秘プロジェクト…」


イーグルは考え込む。


「これはただの失踪じゃないな。エミリアは何か重大な秘密を握っていたに違いない」


第一章 禁断の研究


イーグルたちはエミリアの研究室跡を調査するため、彼女が以前勤めていたバイオ企業「ノヴァ・バイオテック」に向かった。しかし、会社のデータには彼女の研究記録が一切残っていなかった。


「おかしいな… 」


エミリアが関わっていた研究を詳しく調べると、「G-NOVA計画」という極秘プロジェクトが浮かび上がった。


「G-NOVA計画…?」


チェンが資料を調べると、そこには驚くべき内容が記されていた。


「これは…人工子宮とDNA操作による完全な人間の創造だ」


「人工的に人間を作るってことか?」イーグルが眉をひそめる。


「いや、それだけじゃない」カールが補足する。「通常のクローン技術とは違い、G-NOVA計画では『完全な設計図から子供を創る』ことが可能になるらしい」


「つまり…人間の自然な誕生を経ずに、新しい生命を作り出す技術か」


チェンは静かに言った。


「これが成功すれば、生殖に頼らずに人間を作れる。しかし、それは倫理的に大問題だ」


「そしてエミリアはこの研究を途中で放棄した…」イーグルは推測する。「何かに気づいて、止めようとしたんじゃないか?」


その瞬間、カールの端末が警告音を鳴らした。


「誰かが俺たちのアクセスを追跡してる!」 


第二章 創造された少年


武装した男たちが現れ、イーグルたちを取り囲んだ。


「ここは立ち入り禁止区域だ」


「エミリアはどこだ?」イーグルが問いかける。


男たちは答えず、ただ銃を構える。


「話す気はなさそうだな」


次の瞬間、イーグルの早撃ちが火を噴いた。瞬く間に敵を制圧し、彼らのリーダーを捕らえる。


「言え、エミリアはどこだ?」


リーダーは苦しそうに笑いながら言った。


「お前らはもう遅い…計画は、すでに始まっている…」


そのとき、奥の部屋から小さな声が聞こえた。


「…ママ…?」


そこには、一人の少年が立っていた。しかし、彼の顔を見たイーグルたちは息をのむ。


「ルーク…?」


それは、ルークと瓜二つの少年だった。


「どういうことだ…?」


チェンが少年のデータを調べると、驚くべき事実が判明する。


「この子は…ルークの複製だ」


終章 人間の未来


エミリアはこの研究所で、自分の息子・ルークの遺伝子を使って子供を作る実験に関与していた。しかし、倫理的な問題に気づき、研究をやめようとした瞬間、研究所の関係者に捕らえられたのだった。


「エミリアはどこだ?」


「…地下だ…」


イーグルたちは急いで地下に向かい、拘束されたエミリアを発見する。


「あなたたちは…!」


「ルークが助けを求めてきた」


涙ぐむエミリアを解放し、研究データをすべて破壊する。


「こんな研究、許されるはずがない…!」


イーグルたちは証拠をすべて持ち出し、研究所を爆破した。


「これで、終わった…のか?」


チェンは呟く。


「いや…こんな技術が存在する限り、人類はまた同じ過ちを繰り返すかもしれない」


カールがルークと彼の“複製”を見つめながら、静かに言った。


「人間を作るのは、技術じゃなくて…愛情のはずなんだけどな」


エミリアは涙ながらにルークを抱きしめた。


「ありがとう…」


こうして、禁断の研究は闇に葬られた。だが、科学が生み出したもう一人のルークは、静かにイーグルたちを見つめていた。


「僕は…何者なんだろう?」


その問いに、誰も答えることはできなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る