3時間の奇跡
高峰 涼
第1話 突然訪れた闇
これは事実を基にしたお話です。
名前は…『眠り人』 でお願いします。
それは本当に突然だった。小さい頃に発作を起こし道端に倒れ心肺停止状態になった。通りかかった人が心肺蘇生法で蘇らせてくれなければそのまま死んでいた事だろう。
病院で精密検査を受けた結果、原因不明の病と診断された。治療法も治療薬もないという事だった。
この病により人生は大きく変わってしまい普通の人生は送れなくなった。いつ発作が起きるか判らない、薬で発作を抑えてはいるがあくまで抑えているだけで病が治る事はないと医師にはっきりと言われた。その言葉によって「もしかしたら治るかも知れない」という淡い期待は完全に無くなった。
分かり易く解釈をすると不治の病なのだろう。疲れると発作を起こしやすくなるのでなるべく疲れないようにしないといけない。
唯一の趣味というか楽しみはゲームだ。疲れないように遊ぶのにはこれが一番だった。時間がある時はよくネットでゲームをしていた。
ある日ふと見つけたゲームをプレイしているとどうもチームに入った方がいいらしく、どこか面白そうなチームはないかと探していると1つ面白そうなチームを見つけた。そのチームには結構な人数が集まっていた。
ある日チームリーダーの
「今日私がやっている配信があるから見に来てよ」
とチームのみんなに声をかけた。それはとある動画投稿サイトでやっているらしい。そのサイトは運良く友人に教えて貰ってよく見ていた所だった。
「みんな、今から始めるよ」
兎月さんが外部ツールのアプリでみんなに呼びかけた。
そして配信が始まった。兎月さんがやっている配信は音楽DJの配信だった。始まりはノリのいい音楽、そしてそこからリミックス音楽、時にはアニソンなども織り交ぜながら音楽を流していく。
それを見て感動を憶えた。大きな音にも敏感な病のためライブなどを見に行った事がない。兎月さんの配信は音楽を扱っているため多少音が高めだがそれはボリュームを調整して聴けばいいだけの事、兎月さんはやって来た人達の言葉にちゃんと返答しながらリクエストにもちゃんと答えていく。リクエストされても持っていない音楽は
「それは無理~」
と楽しく返答する。配信は3時間続いたがずっと見続けた。…そう、ここから心が少しずつ、少しずつ変わり始めていたのかも知れない。
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