第9話 芦ノ湖の深淵
数ヶ月後
薄明かりが差し込む芦ノ湖畔。当真は、古ぼけた地図を広げ、目的地を確認した。それは、地元の古老から聞いた、ミズチが目撃されたという場所だった。ボートを漕ぎ出し、湖の中央へと進んでいく。
当真はモンハンリアルって大会に参加していた。より多くのモンスターを退治した者が勝ちだ。
参加者は当真の他にアイドルグループ、SWAPの金井浩正、介護士の新垣和志、派遣社員の坂城高江、ニートの中丸一、食品工場ボスの真鍋康之だ。
湖の中央に差し掛かると、あたりは深い霧に包まれた。視界は数メートル先までしかなく、ボートの舳先を切り裂く水の音が、不気味に響き渡る。地図に記されたポイントを頼りに、当真は漕ぎ進める。
「まさか、こんなところに……」
呟きながら、彼は懐から特殊な装置を取り出した。それは、モンスターの気配を感知するもので、モンハンリアル大会のために開発された最新鋭のアイテムだ。装置の針が大きく振れ、けたたましい警報音が鳴り響く。
「来たか……」
当真は、握りしめたナイフに視線を落とす。これは、彼の相棒であり、今回の大会のために特別にカスタマイズされたものだ。彼は深呼吸をし、ボートを静かに浮かべたまま、周囲を警戒する。
そのとき、霧の中から巨大な影が現れた。それは、古文書に記された伝説の生物、ミズチの姿だった。蛇のような胴体に、鋭い牙と鉤爪を持ち、その目は赤い光を放っていた。
「これが、ミズチか……」
当真は、心臓が鼓動を早めるのを感じた。だが、彼は動揺を見せず、冷静に構えをとる。今回の大会で優勝するためには、このミズチを倒さなければならない。
ミズチは、ゆっくりとボートに近づいてくる。その巨大な体からは、圧倒的な威圧感が漂ってくる。当真は、ナイフを構え、ミズチの攻撃に備える。
「来るぞ!」
ミズチは、巨大な口を開け、当真に向かって飛び掛かってきた。当真は、ギリギリのところでその攻撃をかわし、ナイフをミズチの腹部に突き刺す。
だが、ミズチは簡単には倒れない。激しく体を振るい、当真をボートから投げ飛ばそうとする。
「ぐっ……」
当真は、必死にボートにしがみつく。水面に叩きつけられそうになったその時、背後からボートが激突してきた。
「当真!」
振り返ると、そこには金井浩正の姿があった。彼は、自分のボートを操り、ミズチの注意を逸らそうとしていた。
「金井!?」
当真は、金井の行動に驚きを隠せない。アイドルとして活動している金井が、なぜこんな危険な場所に現れたのか。
「俺だって、モンスターハンターだ!」
金井は、そう叫びながら、ミズチに向かってナイフを振りかざす。
二人の攻撃が集中したミズチは、ついに力尽き、湖底へと沈んでいった。
「やったか……!」
当真と金井は、息を切らしながら、互いに顔を見合わせる。
「ありがとう、金井」
「こちらこそ、当真。まさか、こんなところで再会するとはな」
二人は、互いに笑顔を見せ合った。
しかし、彼らの闘いはまだ終わっていなかった。湖の周りには、他の参加者たちの姿も見え始めていた。
「みんな、ここにいたのか」
当真は、他の参加者たちに声をかけた。
「当然だ。こんな面白い戦いを、見逃すわけにはいかないだろう」
真鍋康之が、ニヤリと笑って答える。
「さあ、他のモンスターも探すぞ!」
参加者たちは、それぞれ自分のボートに乗り込み、再び湖へと漕ぎ出していく。
ミズチとの死闘を乗り越えた当真たちは、さらに過酷な戦いに身を投じていくことになる。
その夜、当真は夢を見ていた。
静寂を破るのは、オールが水をかき切る音と、自分の鼓動だけ。深い霧が湖面を覆い、視界は次第に狭まっていく。まるで、未知なる世界へと足を踏み入れるようだった。
ふと、水面がざわめいた。何かが動く。心臓が大きく跳ね上がる。そして、そのとき、巨大な影が水面を横切った。それは、伝説の生物、ミズチだったのだろうか。
神山の頂へ
息を整え、当真は神山へと足を向けた。神山は、箱根の霊峰として崇められており、古くから神々が宿る山と信じられてきた。山頂からは、芦ノ湖や箱根の山々を一望できる絶景が広がっている。
深い森の中を進むにつれ、木々の葉が擦れる音や鳥のさえずりが、彼の心を落ち着かせる。やがて、視界が開け、山頂に到着した。神々しい空気が漂う中、当真は深呼吸をし、静かに目を閉じた。
大涌谷の熱気
大涌谷は、箱根の活火山活動によって生まれた、独特の景観を持つ場所だ。硫黄の匂いが漂い、大地から熱気が立ち上っている。当真は、この異様な光景に圧倒されながらも、どこか心地よさを感じていた。
足湯につかりながら、彼は地元の人々と話を交わした。彼らは、大涌谷には様々な伝説が語り継がれていると教えてくれた。例えば、この熱湯は、地獄から湧き出たものだとか、鬼が住んでいるという話もあるそうだ。
箱根峠からの眺望
箱根峠からは、雄大な富士山を望むことができる。当真は、峠に腰掛け、富士山を眺めながら、これまでの旅を振り返った。箱根には、自然の神秘だけでなく、人々の暮らしや歴史が深く根付いていた。
そして、新たな旅へ
箱根での冒険は、当真にとって忘れられないものとなった。彼は、ミズチの謎を解き明かすことはできなかったが、自然の偉大さや、人間の心の奥深さを知ることができた。
そこで当真は夢から覚めた。
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