第7話 箱根の闇に沈む男

 当真龍臣は、東京の片隅でしがない探偵業を営んでいた。依頼は主に浮気調査や家出人の捜索といった些細なものばかり。ある日、彼はかつての同僚から奇妙な依頼を受ける。箱根にある老舗旅館の主人が、不可解な死を遂げたというのだ。

「自殺だと言われているが、どうも腑に落ちない。何か裏があるような気がしてね」

 同僚の言葉に、当真はわずかな興味を抱いた。箱根といえば、美しい自然と温泉で知られる観光地。そんな場所で何が起きているのか。好奇心とわずかな見返りを期待して、当真は箱根へと向かった。

 旅館は、箱根の奥深い山中に佇んでいた。古き良き日本の風情が漂う静かな空間。しかし、その中に漂う空気はどこか重く、当真の鼻を刺激した。旅館の主人、神崎は、評判の良い人物だったという。自殺する理由など、どこにも見当たらない。


 当真は、神崎の部屋を調べ始める。机の上には、数枚のメモ用紙。殴り書きのような文字が、彼の目を引いた。「契約」「裏金」「危険」といった言葉が、散見される。何か大きな取引に関わっていたのだろうか。

 捜査を進めるうちに、当真は旅館の従業員や地元の住民から、様々な話を聞く。神崎は、最近になって態度が豹変し、誰とも話さなくなったという。また、旅館の裏では、何やら怪しい取引が行われているという噂も耳にした。


 ある夜、当真は旅館の裏山を徘徊していた。すると、不審な人影を見つけた。男は、懐中電灯の光を頼りに、何かを隠そうとしているようだった。当真は、そっと男の後を追う。男は、深い谷底へと続く小道を進んでいった。

 谷底には、小さな洞窟があった。男は、洞窟の中へと姿を消した。当真は、勇気を振り絞って洞窟の中へと足を踏み入れる。洞窟の中は、薄暗く湿気が充満していた。懐中電灯の光を頼りに、奥へと進んでいくと、そこには信じられない光景が広がっていた。

 洞窟の奥には、大量の現金と、何やら怪しげな機械が置かれていた。そして、そのそばには、神崎の遺体が隠されていた。どうやら、神崎は、この裏取引に関わり、命を奪われたようだ。

 当真は、警察に連絡し、自分の発見したことをすべて伝えた。警察は、すぐに捜査を開始し、裏取引に関わっていた者たちを逮捕した。

 事件は解決したが、当真の心には、深い傷跡が残った。美しい自然の中に隠された闇。人間は、いつだって欲に目がくらみ、人を裏切る。そんな人間の醜い一面を、当真は目の当たりにしたのだった。

**事件後、当真は東京に戻った。**しかし、箱根で見た光景は、彼の心に深く刻み込まれていた。彼は、これからも、人知れず暗躍し、事件の真相を暴き出すことになるだろう。


 事件後、当真は箱根を冒険することにした。

 古くからの温泉町である。また、江戸時代には箱根関が置かれた地である。なお、箱根温泉とは湯本、塔ノ沢、大平台、宮ノ下、小涌谷など町内にある温泉の総称である。


 温泉地としての評価は、江戸時代の温泉番付によると前頭格だった。戦後は、堤康次郎率いる西武・国土計画陣営(駿豆鉄道→現伊豆箱根鉄道、伊豆箱根バス等)と、五島慶太・安藤楢六率いる東急・小田急陣営(箱根登山鉄道→現小田急箱根、箱根登山バス等)によって「箱根山戦争」と揶揄される精力的な観光開発競争があり急速に発展、以後は日本を代表する温泉観光地として知られている。


 年明けの1月2、3日に行われる東京箱根間往復大学駅伝競走は長い歴史を持ち、数々の名勝負を生んだ正月の恒例行事であり、箱根が最も活気に溢れる。


 2016年3月には芦ノ湖周辺が森林セラピー基地としての認定を受け、2017年に環境省により公表された富士山がある風景100選では町内12ヶ所が選定された。

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